おはようございます、まさかの花粉症発症、早速寝られずストレスフル、みかんです。
いやー、旦那氏が去年から発症し、今年はきつそうだな~と他人事のように思っていましたが
まさかの息子と私も発症。
きついですね・・・。
何かいい対処法はないものか。。
本日は、2020年に本屋大賞を受賞した凪良ゆう先生の「流浪の月」です。
他にも本屋大賞を受賞した本やお勧めの本をご紹介しています↓
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「流浪の月」(凪良ゆう)
2019年に出版され、翌年の本屋大賞を受賞した作品です。
2022年には、広瀬すず、松坂桃李主演で映画化されています。
映画もお好きな方はU-NEXTなどの有料配信でご覧になれます。
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私も無料体験で観ました。
ざっくりあらすじ(ネタバレなし)
幼女誘拐事件。
小学校4年生の女子児童が大学生に誘拐される事件が発生した。
少女は無事に保護されるも保護された瞬間の映像がデジタルタトゥーとして永遠に残り続けていた。
大人になった被害者の家内更紗は、「誘拐事件の被害者」という重荷から一生逃れられないことを何度も体験しながら、それを知って受け入れてくれる恋人と同棲していた。
「結婚」を突然のように振られ、自分の気持ちに違和感を持ち始めた矢先、更紗はあるカフェで佐伯文と再会する。
文は誘拐事件の犯人だった。
そこから更紗の人生が再び変わり始める。
子どもを産んでから、「子供が犠牲者」の作品は書籍でも漫画でも映画でも避けていました。
どうしても親の気持ちになってしまい耐えられないからです。
この本も子供に辛い描写が出てきますが、文章が美しすぎて読む手が止められませんでした。
ハッピーエンドではすんなり終わらない、リアルな物語を垣間見ることが出来ます。
ざっくりあらすじ(ネタバレあり)
更紗幼少期
小学校4年生の家内更紗は、いわゆる「普通」とは違った両親の元で育った。
朝から美味しいお酒を作って飲んだり、更紗がいても構わずグロテスクな激しめの映画を観たり、更紗の前でもキスをしたり。
そんな両親が更紗は大好きだった。
そんな日常が突然変わる。
父さんが病気で死んだ。
母さんはお酒が止められなくなり、父さんがいなくなった寂しさを他の男で埋めるようになっていった。
そしてあるとき姿を消した。
更紗は叔母の家に引き取られるようになったが、叔母は母さんのことを否定するばかりだった。
自由な母と、はみ出すことを嫌う叔母では馬が合わなかったらしい。
窮屈だった叔母の家での生活の中、更紗を追い詰めたのが叔母の息子、孝弘だった。
当時中学生だった孝弘は夜な夜な更紗の部屋に無断で入り、更紗を触っていった。
家に帰りたくない更紗が公園で出会ったのが文だった。
一人でいつも公園のベンチに座り、遊んでいる少女たちを見ていると子供からも怖がられていた。
雨が降ってきたがどうしても家に帰りたくなかった更紗が公園で動かずにいると、文が話しかけてきた。
「うちにくる?」という。
更紗はついていった。
もう孝弘のいる家に帰りたくなかった。
文の家では恐れていたようなことは何もなく、不思議だが居心地のいい関係だった。
文は規則正しく生活していた。
お互いの生活が違い過ぎてそれが面白かった。
文の家にきて1週間ほどがたち、テレビで更紗の報道が流れ始めた。
動物園にパンダを観に行きたいという更紗を、文は連れて行ってくれた。
そこで警察に保護される。
更紗に気づいた誰かが警察に通報したらしい。
文と引き離されて泣き叫ぶ更紗。
この時誰かが撮った動画が今でもネットに残っている。
更紗は取り調べで文は何も悪くない、ということを何度伝えても「可哀そうに、怖い目に合って」ということしか言ってもらえなかった。
誰も自分の話を聞いてくれない。
孝弘のことはなぜか口から出せなかった。
自分が何も言えないことで文が悪者になってしまう状況に耐えられなかった。
一番帰りたくなかった孝弘にいる家に連れ戻され、再び孝弘が自分の部屋にやってきたとき。
何かが振り切れ、更紗は孝弘を瓶で殴った。
更紗は児童養護施設へ行くことになった。
大人になった更紗
どこへ行っても「女児誘拐事件の被害者」という他人からの目に苦しめられながら大人になった更紗は亮という恋人と同棲していた。
亮から当たり前のように結婚するから実家に顔を出すように言われたとき、素直に喜べない自分がいた。
度々出てくる違和感があります。
亮は更紗のことをなぜか下に見ている。
「おれがやってやってる」感がものすごくて無理です。笑
再会
職場の人に誘われ、断れなくて行った隠れ家的な喫茶店で更紗は会いたくてしょうがなかった文と再会する。
喫茶店のマスターをしていた。
全く更紗に気づかないのかお客さんとして最低限の会話しかできないながらも更紗は通い続ける。
亮に仕事だと嘘をついて喫茶店に通い続けていたある日、コーヒーを飲んでいると亮が現れた。
驚く更紗に、仕事場に行こうと思ったら途中で更紗を見かけて後を付けたという。
少しずつ二人の関係性が変わっていく。
更紗の職場まで来たり、シフトの確認を電話でしたりいわゆる束縛が始まる。
それが嫌になり、家に帰らないと喫茶店まで探しに来たり職場に迎えに来たり。
連れて帰られたときは腕を強く引っ張られ放してもらえなかった。
ちょうどその時亮の祖母が倒れたという連絡を受け、一緒に来てくれないといけないと泣きつかれてしぶしぶ向かう。
そこで更紗は亮の過去を知る。
以前元カノをDVして警察にお世話になりかけたこと、亮の母親もDVを受けて家を出たこと、亮は母親のトラウマから自分のもとを逃げ出さないような逃げ場がない女性を好んだこと。
更紗は職場の安西から、一人娘の梨花を預かってくれるように頼まれる。
シングルマザーの彼女は現在彼氏と順調らしく旅行にいきたいという。
亮も賛成したので預かることに。
3人ででかけ、久しぶりに楽しい日を過ごした帰り、亮が本屋に行きたいといいなぜか梨花も連れて行った。(更紗は帰って風呂の準備を頼まれた)
時々気になって見てしまう幼女誘拐事件の掲示板。
引き離される文と更紗の動画や、その後の二人の情報が書かれているものだ。
それが更新されていた。
文が喫茶店をやっていることが以前書かれていたが、今回は文の盗撮写真まで載っていた。
そしてその中の1枚に、幼女の脚が写っていた。
幼女誘拐犯の喫茶店に、少女の写真。
そしてその幼女は梨花のようだった。
亮が文のことに気づいている。
そして掲示板に書き込んでいる。
呆然としているところに亮が帰ってくる。
問い詰める更紗を亮が殴り飛ばす。暴力をふるう。
そのままやろうとするので、更紗は落ちた花瓶で亮を叩きつけ家を飛び出し、文の喫茶店に向かってしまう。
喫茶店を閉めて文が出て来て更紗に気づく。
血だらけの更紗に驚くも、閉店後の喫茶店に入れてくれた。
文は更紗を覚えていた。
15年ぶりの会話をけたたましくドアを叩く音が邪魔をする。
亮だった。
一度亮と同棲する家に帰り、同僚の安西さんに紹介してもらった夜逃げ屋で引っ越しをする。
文の住むマンションの隣の部屋へ。
更紗に別れを告げられた亮はそれからも何度か文と更紗の住むマンションを訪ねる。
暴力を振るうたび、「もうしない、絶対にしないから」という亮。
これがDV男か。。。と背筋が寒くなりました。
その後亮は週刊誌に文について悪意のある嘘を証言し更紗を取り戻そうとする。
そのことでもめた二人は警察に連行され取り調べを受ける。
ちょうど梨花を安西から預かっており、体調を崩していた梨花を文に任せているときだった。
幼女誘拐事件の被害者であることはすぐにばれ、文が梨花の看病をしていることを知られ、警察が文の家に行くことになる。
何も悪いことはしていないのに、過去の犯罪歴で疑われ警察が出動してしまう文、何度文はそんな人間じゃないといっても信じてもらえないことに絶望する更紗。
このあたりは救われない感じがぐおおおおおっときつかったです。
何とか疑いは晴れ、更紗も文も解放され家に戻れた。
文の過去
会社を経営する父、教育に熱心な母親、出来のいい兄という家庭で不通に幸せに過ごしていた。
しかし中学生にになったころから自分の身体に違和感を覚え始める。
第二次性徴が来ない。
高校生になっても子供のまま未発達だった。
教育熱心も度が過ぎていた母親は、自分の思い描く理想から飛び出たものを排除する傾向にあり、自分も取り除かれるのではと怖くて誰にも相談できなかった。
大学生になり、日々女性になっていく同級生の女性たちをみると未発達な体への劣等感を浮き彫りにされるようだった。
自分が普通とは違うことへの今日から、いつしか性的な香りとは無縁の女の子たちに目が行くようになる。
彼女たちを見ているときだけ今日から逃れられた。
大人の女性を愛せないのではない、小さな女の子が好きなのだ。
レールから外されたのではなく、自ら外れた、と少しでも楽になりたくて思考が奇妙にねじ曲がった。
そんなときに子供だった頃の更紗に出会った。
逮捕後の身体検査で異常が分かり、想像していた通りの病名だった。
その後の二人
週刊誌の報道で、幼女誘拐事件の犯人だった文が住んでいたマンション、お店は特定されどちらも退去を余儀なくされた。
世間は「犯罪者にはGPSをつけるべき」「被害者だった女性は犯人の洗脳が解けていない」など好き勝手に騒ぎ散らしていた。
「ロリコン怖い」「女の子は洗脳されているらしい」と好き勝手騒ぐ高校生の横で、文と更紗、そして梨花はコーヒーを飲んでいた。
2人は長崎でお店を出しており、久しぶりに梨花と会っていたのだった。
いつ、どこで誰に正体がばれるか分からない。
しかし一人ではない。
文がいる。
更紗がいる。
恋愛関係ではないが、奇妙な絆で支え合っているのだった。
文の病気とは?
二次性徴がおこらない、または途中で止まってしまう、退行してしまう。
男性ホルモンが分泌されず、政争の発育などがされないままの状態で大人になってしまう病気で性腺機能不全と呼ばれるものです。
クラインフェルター症候群や、カルマン症候群など細かく見ると色々な病気に分かれるので実際にこれ!とは明記されておらず正確には不明です。
しかし、大きなくくりでみると、性腺機能低下症だと言われています。
高身長、やせ型、長い手足、未成熟な性器などの症状がみられるそうです。
この本を読むまでは知りませんでした。
文のように家族に受け入れられないのでは、と怖くて相談できない人もいるようです。
小言
子どもを産んでから子供が犠牲になる話、特に性犯罪は許せなさ過ぎて近寄りませんでした。
しかしこの本を読んで、真相は二人にしか分からない、という言葉に考えさせられました。
基本的には犯人は苦しんで死ねばいいのにというスタンスですが、文と更紗のような関係も0ではないんだな、と。
もし本人同士が支え合っていて、実は他のところに悪があったという場合もあるのか。
しかしこれは、被害者が洗脳されている場合も本当にあるので、見極めが難しいです。
でももし本当に、純粋に二人が支え合っているなら、外野が誹謗中傷するのはただの悪で二人を苦しめるだけ。
何が真実かを知ることは本当に難しい、そして一度ついた偏見は本当に無くならないと怖くなりました。
でも確かに、昔幼女を誘拐した人が同じマンションにいたとしたら、その人のことを良く知らないうちから避けたくなります。
もしそのレッテルが間違いだったら。
その人の心を殺しかねない。
なんちゅう難しい話だと心が重くなりました。
流浪の月の二人は、人にばれたらその街を離れるということを繰り返していきます。
人の目を、ばれることを気にしないといけない、それはなんて辛いことかと思いましたが、「次はどこへいこうかな~」と考えられる更紗が救いでもあります。
私が出来ることは、とりあえずそんなレッテルを貼られないように生きていくこと。かな・・・。
すっきりしない話でしたが、最後まで読んでくださってありがとうございました!
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