壮大な伏線回収!久しぶりに読むのを止められず徹夜してしまった1冊「古書の来歴 上・下 (ジェラルディン・ブルックス)」(前編)

ミステリー
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古書の来歴

こんにちは、夕方再放送のドラマ「東京DOGS」に久しぶりにはまっています、みかんです。
刑事ものとしては、同じ小栗旬主演の「CRISIS」の方がアクションは全然すごいんですが、小栗旬に水嶋ヒロ、吉高由里子などの若さと、軽快なやりとりが見ていて気持ちいいです。
放送中に見たはずなのに、どうなったか結末を全く覚えていないのなんなんですかね。
そのためにもこういうブログを始めたんですけどね。

本日は、久しぶりに読むのをやめられないほど面白かった1冊をご紹介します。

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古書の来歴 あらすじ

100年前から行方が知れなかったハガターが発見された。
連絡を受けたオーストラリア在住の古書鑑定家ハンナは、すぐにサラエボに向かった。
ハガターはユダヤ教の祈りや詩篇が書かれた書で、今回発見されたのは実在する最古のものと言われ、ハガターには珍しく、美しく彩色された細密画が多数描かれていた。
鑑定を行ったハンナは、羊皮紙の間に蝶の羽の欠片が挟まっていることに気づく。
なぜ蝶の羽が挟まっているのか、いつ挟まったのか、ハガターがどこから渡ってきたのか。
数百年の時を超えたハガターの辿ってきた道とは。

最初はダヴィンチ・コードみたいな感じかな?と思っていたんですが、全然違います。
事件は起こりません。
ただ、謎のハガターがどうやって描かれたかなんですが、これがめちゃくちゃ面白い。
続きが気になって気になってしょうがありませんでした。
どんな内容か全く知らずに読み始めたのですが、話にはユダヤ人が大きく関わってきます。時代を超え、様々な運命に翻弄されるユダヤの人々が出てきます。
お恥ずかしながら、私が知らないユダヤ人の歴史もありました。
激動の時代を生きた人々の手に渡ってきた1冊のハガターを思うと、胸が熱くなります。
デジタル書籍の有用性を実感する現代ですが、この本を読むと、「本」というものの素晴らしさ、尊さを考えずには入られません。

やはり私は「本」派ですね。


ネタバレあらすじ

⦅1996年・サラエボ⦆
ハンナ・ヒースはオーストラリアに住む古書鑑定家。国連からの依頼で幻の本、サラエボ・ハガターの修復にサラエボへ向かう。サラエボ・ハガターは、中世のスペインで作られた有名な希少本だ。
ユダヤ教があらゆる宗教がを禁じていた時代に、ヘブライ語で書かれたその手書きの本は、美しい挿絵がふんだんに使われていた。ユダヤ教徒は宗教的な美術品を作らなかったと考えられていたが、1894年、サラエボでは発見されると、それまでの通説が覆ったのだった。
1992年にサラエボが包囲され、その古書の行方が分からなくなっていた。激しい砲撃の最中、博物館の文献部門主任学芸員のオズレン・カラマン、イスラム教徒が命がけでユダヤの本を守っていた。
そのカラマンの立会いのもと、ハンナの修復作業が始まる。

慎重に慎重を重ねる作業の末、いくつかの手がかりが見つかる。

  • 半透明で翅脈のある昆虫の羽
  • 細く白い毛
  • ワインのような染み
  • 「私によって精査された」という1609年のヴェネチアでヴィストリニという人物による一文
  • ある家族を描いたページ。スペインに住むユダヤ人の家族が過越の祭のセデルのテーブルに付いていた。主人と着飾った妻、息子と思われる人物の他に、漆黒の肌にサフラン色の長衣をまとった女性がいた。

⦅1940年・サラエボ⦆

サラエボに住むユダヤ人のローラは、貧しいながらも家族の手伝いをしながら、『若き守護者たち』のメンバーとして夜な夜な集まっては議論を熱く交わす仲間たちをずっと見ていた。
ローラが慕っていたモルデハイは、ユダヤ人の国を作ることを夢に見る熱い若者だった。
そんな日常が突如終わる。
ドイツ空軍はベオグラードを空襲。4つの敵国の軍隊に、ユーゴスラビア軍は降伏。ドイツはサラエボが新たな国の一部であると宣言していた。
ナチは「セルビア人とユダヤ人を排除しなければならない」とし、暴挙の限りを尽くす。価値のあるものを全て破壊し、伝統あるシナゴーグに火を放った。
「アーリア人の血とクロアチア国民の名誉を守る」ための反ユダヤ主義の法律によって、ローラの父は財務省での仕事を失い強制労働を課せられた。ユダヤは全員黄色い星をつけさせられた。
数週間後ユダヤの連行が始まり、父のルヨは連行され、両脚の膝腱を切られて奈落の底に突き落とされた。
ローラが洗濯物の配達中、母のラシェラと妹のドラもナチの兵士に連行される。女性たちが集められていたシナゴークに潜入し、再会、抜け道から逃げようと説得するも、小さなドラと自分は足手まといになるとローラ1人で逃げるように言い放つ。
泣き出しそうになりながら1人ででるローラの手を小さな少女が掴む。彼女は『若き守護者たち』のメンバーであるイサクの妹、イナだった。強気で生意気なイナと2人で『若き守護者たち』のメンバーもといパルチザンが隠れている場所へ向かう。
なんとかパルチザンの1人としてラバの世話を一生懸命していたローラ、7ヶ月の時が過ぎていた。全員が疲れ果てていたある日、その地域の連隊長に集められる。
そしてパルチザンの解散が命じられる。と同時に、武器の供出。ラバも取り上げられた。急に解散と命じられ、行く場所がなくなり落胆するメンバーたち。
ローラはイサク・イナの兄妹と行動を共にする。極寒の山の中を進むが、イナは体調を崩し、イサクは凍傷になり動けなくなる。1人で言ってくれというイサクに、一緒になんとか乗り越えようとするが、イサクはイナを抱きかかえ、凍った湖の中へと姿を消してしまう。
1人になってしまったローラ。街まで戻ると父の旧友に出会い、ある人物を紹介される。それは、以前仕事の洗濯屋で訪れていたイスラム教徒の男性カマル・セリフだった。
妻のステラと息子のハビブの3人の家に匿ってもらうことになったローラ。最初は戸惑っていたが、パルチザンとなって極寒の山の中を渡り歩いていた日々が嘘かのように、カマル家の乳母としての生活に慣れていた。
ある日、セリフが博物館から1冊のハガターを大事そうに持って帰ってくる。ナチの将軍が探しにきたのを館長と死守したとのことだった。いつ家まで踏み込んでくるか分からないので、絶対に見つからない場所に隠すという。
高い山の上にある人里離れた村に着いた。セリフは、親友であり村の師であるホジャにハガターを隠して欲しいと頼む。ホジャはハガターに興奮し、窓の外から入ってきた蝶の羽の破片が開いたハガターのページに音もなく挟まったのに気づかなかった。

どうですか!この流れ!!!
急に1940年のローラという人物の場面で、最初は「?」となったんですが、最後の蝶の羽で鳥肌です。
ローラの過酷すぎる運命に胸が締め付けられながらも、最後で胸がすくっとなります。
これは本当、実際にこの本を読んで欲しいです!


時代は他にも遡ります。

⦅1894年・ウィーン⦆
ユダヤ人医師のフランツ・ヒルシュフェルトは梅毒患者で末期のヘル・ミトル(装丁師)の診察をしていたが、金のないミトルはある日、診察代の代わりに、先祖代々ミトル家に伝わる聖書についていたものだとして、非常に美しい銀細工の留め金を持ってくる。それは、博物館から再装丁を頼まれていたあのハガターの失われた留め金だった。
最初は断っていたヒルシュフェルトだったが、その銀細工に描かれていた繊細な薔薇に、ふと思いとどまる。浮気相手に別れの時に送るイヤリングに作り変えられると思ったのだった。

⦅1609年・ヴエネチア⦆

カトリックの異端審問官であるヴィストリニは、ユダヤ教のラビであるアリエと不思議な関係だった。決して相容れないが、お互いを特別視していた。
アリエはある日、ゴンドラでレイナ嬢と密会する。レイナ嬢は、ヴェネチアでも有数のお金持ちの元ユダヤ教徒だった。現在は改宗し、敬虔なキリスト教徒となって絢爛豪華な邸宅で暮らしている。そんなレイナ嬢は、アリエが行なっているゲットーの貧しい人々への支援の最大の出資者でもあった。今回もアリエはレイナ嬢に莫大な支援金をお願いしていた。レイナ嬢は、異端審問官の友達がいるというアリエに1つ頼みがあるという。それは、古い一冊の本だった。レイナ嬢の母親の下男が持っていたというハガターには絵とともにユダヤの物語が綴られていた。
このハガターが検閲官の検認を受けられるかが知りたいという。レイナ嬢はヴェネチアを離れ、本来のユダヤ教徒として本当の自分を生きるという。その際、検閲を受けてこの本を取り上げられるのを避けたいということだった。

その夜アリエは、仮面をつけていた。ヴェネチアのカーニバルの日だった。アリエはキリスト教徒に混じって賭博に興じていた。ギャンブル依存症だった。結果レイナ嬢から預かった大金を失い、胴元にはユダヤ人だとバレてしまった。

翌日、アリエはヴィストリニの元を葡萄酒を持って訪れる。ハガターの検閲を依頼するのだ。ヴィストリニは承認しないという。理由は絵だった。地球が球体として描かれている上に、太陽が描かれていた。太陽中心説を支持するかのような異端な思想だという。ヴィストリニは承認するように懇願するアリエを激烈に批判し、拒絶する。
アリエは顔面蒼白でその場を後にする。
残されたヴィストリニはハガターを見て、頭の中に響く声を聴く。今まで耳を塞いできた声だった。今まで忘れ去っていた過去、彼の両親は、隠れユダヤ教徒として処刑されていた。
自分はユダヤ教徒だった!そのことに気付かされグラスを握る手に力が入り、薄いヴエネチアングラスが砕けて親指に刺さった。傷から血が垂れ、ハガターのページの上にすでに広がっていた葡萄酒の染みに重なった。
ヴィストリニの本当の名前は、エリアフ・ハ=コーヘンだった。
そして気付けばハガターに自分の名前を記していた。

ひいいいいいいい!!!!

繋がってますね!!
もうどうしたらこんな話を思いつくのか。1冊の本を巡る時間と場所の旅、いかがでしょうか。
私が忘れないようにあらすじをザクっと書いていますが、本で読むとめちゃくちゃ面白くて興奮するので、是非とも読んでください!!!
ちょっと長くなりそうなので、記事を分けさせていただきますね。

それではまた後編で!

壮大な伏線回収!久しぶりに読むのを止められず徹夜してしまった1冊「古書の来歴 上・下 (ジェラルディン・ブルックス)」(後編)

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