おはようございます、やっと通常営業に戻れるかハラハラみかんです。
繊細さんでストレス耐性が雑魚なので、子供の体調不良時は専業主婦で良かったな~とほっと一安心していました。
健康が一番ですね。痛感中です。
本日は、どんなメンタルでも読み始めたら絶対に引き込まれて本の世界にのめりこんでしまう至極の1冊をご紹介します。
かがみの孤城
人気作家の辻村深月さんのこれまた大人気小説ですね。
2018年に本屋大賞を受賞されています。
私もいくつか辻村深月さんの本をご紹介しているので、気になる方はぜひ。
「本日は大安なり」(辻村深月)あらすじ紹介、ネタバレ有。不穏な空気が漂う結婚式会場。何かが起きる?
「太陽の坐る場所」(辻村深月)ネタバレ有あらすじ。描かれる人間の浅ましく醜い、けれども誰しもが持っている感情とは。
「鍵のない夢を見る」(辻村深月)ざっくり紹介。読むとすーっと背中が寒くなる短編集。
辻村深月さんの小説では、「ツナグ」が実写映画化されていますが、「かがみの孤城」も2022年12月23日から映画が公開されます!!!!
絶対観る!!!
本日は、「映画化なるんだ。面白かったもんな~。あれ、どんな話だったっけ?」
という方向けに、ネタバレ有のあらすじを書いています。
まだ見たことがない方は、ネタバレなしのざっくりあらすじだけで止めておいてください。
ご自分で読む方が、何千倍も面白いのでええええええ!!!
活字の苦手な人は、漫画も出ています!
ざっくりあらすじ(ネタバレ無)
中学1年生のこころは、あることがきっかけで不登校になっていた。
不登校の子供のための「こころのスクール」に通うように言われるが、どうしても行けず母親のため息や「どうして行けないの?」という無言のプレッシャーに押しつぶされる日々だった。
そんなある日、部屋にあるかがみが急に光りだす。
不審に思い手を伸ばすと、その中に引きずり込まれてしまった。
気が付くとそこは、お城のようで、オオカミのお面をかぶりフリルのドレスを着た不思議な女の子が心を待っていた。
一度は逃げ出すも、再びかがみを通ってその城に行くこころ。
そこには、こころの他に同年代の男女が6人いた。
オオカミ様は、3月30日までに鍵を見つければ、願い事を一つ叶えてくれるという。
学校で色々あってから人間関係に敏感になっているこころは、考えすぎなところもありながら、少しずつ彼らと打ち解けていく。
鍵は見つかるのか。
何のために自分はかがみの城に呼ばれたのか。
現実と鏡の中を行き来しながらこころは少しずつ変わっていく。
あらすじ(ネタバレ有)
心が学校に行けなくなった原因
雪代第五中学校1年生の安西こころは、1学期にクラスの中心的な人物、真田美織から目を付けられる。
理由は、真田が好きになった男子がこころのことを好きだったからだった。
あからさまな悪口に、トイレの個室を覗かれそうになったりする日々。
しまいには、学校を休んだ日に、取り巻きを何人も連れて、こころの家までやってきた。
「開けろ!」と怒号のようなものが飛び交い、ドアは叩かれる。
こころは殺されると感じ、息をひそめていた。
その日からこころは学校に行っていない。真田に殺されないようにだった。
このことは誰にもいえなかった。
でも誰かにずっと気づいてほしかった。
ほんとこんなこと女子の世界ではありうるんですよ。
悲しいけど私も小学生の時に経験があります。
突如として始まる無視。
嫌な気持ちになっても、無視されている自分を親には知られたくなくて言えないんですよね。。
親になると、絶対に言ってほしい!と思うんですけどね。。
中学の担任の伊田先生はほぼ宇宙人で、被害者のこころのことは全然理解せず、加害者の真田美織の肩ばかり持つ。
こころのスクールの喜多嶋先生だけが、こころが何かと戦っていたことを理解してくれ、もう戦わなくていいと言ってくれた。
集められた7人の子供たち
オオカミ様に集められた子供は7人。
- スバル:つかみどころがないが、こころにも親切に接してくれる優しいお兄さん。中3。
- アキ:ポニーテールが特徴の活発な女の子。学校にいたらこころは苦手なタイプ。中3。
- マサムネ:眼鏡をかけたゲームっこ。最新のゲームを持っているらしい。ひねくれ。中2。
- フウカ:ずばっと「ばかじゃない?」とか言ってしまうタイプ。中2。
- リオン:THEイケメン。ハワイの寄宿学校に行っている。中1。
- ウレシノ:見た目通りの食いしん坊。女の子に惚れやすい。中1。
- こころ:控え目で人のことを気にしすぎる。中1。
最初は仲良くなれるはずがないと思っていたこころだが、ちょっとしたぶつかり合いをいくつも乗り越えて信頼関係を築いていく。
オオカミ様は、こころたちのことを「赤ずきんちゃん」と呼び、いくつかルールを課した。
- 城は3月30日まで毎日朝9時から夕方5時まで開く。
- 必ずこの時間を守らないと、ペナルティーで残ったものはオオカミに食われる。同じ日に来ていたものも連帯責任で連れ戻されて食べられる。
- 鍵を見つけたものが願いをかなえると、このゲームはおしまいで城は閉じる。
城には電気は通っていてゲームは出来たが、暖炉に火はなく、水道も使えなかった。
子どもたちは、家から食料を持ち寄って居間でゲームをすることが多かった。
なぜ私たちが集められたのか。
鏡を通る時間から、こころは察する。
この7人は「学校に行っていない」
ただ、最初はそれを誰も口にしていなかった。
徐々にそのあたりも明らかになっていく。
ある日、いつも私服だったアキが制服で城に来ていた。
姿を見てこころは絶句する。
アキの制服は、雪代五中。こころの中学校の制服と同じだった。
そしてこころだけではなく、スバル、マサムネ、フウカ、ウレシノも自分の学校だという。
ハワイにいるリオンまでも、ハワイに行かなかったら自分が行くはずだった学校の制服だという。
7人は同じ学校の不登校だった。
えええええええええ!!!!
ここで1びっくりでした。
どういう展開?!勝手に全国各地の不登校が集められたと思っていたら、皆同じ学校なん?!
でもこれだけでは終わりません。。
いつもひねくれ100%のマサムネがみんなに助けてほしいと言う。
3学期の始業式、1日だけでいいから学校に来てくれという。親と約束したらしい。
皆がいたら頑張れるというマサムネに、全員が「私たちは助け合える!」と胸を熱くするメンバー。
そして約束の1月10日。
始業式の日だとマサムネは言ったのに、その日は始業式ではなく、授業がスタートの日だった。
意気込んでいったこころは、途中で同級生と遭遇しプチパニックになり、保健室に駆け込む。
そこで、この学校には「マサムネ」「ウレシノ」という生徒はいないと先生から言われる。
誰にも会えないまま家に帰り、城へと向かう。
どういうことなのか。
そこにはマサムネ以外のメンバーがいて、全員が学校に行ったけど、他の生徒は存在しないと言われたという。
その後、しばらく顔を出さなかったマサムネが久しぶりに現れ、こころたちに言う。
「おれたちはパラレルワールドにいるのかもしれない」
ここにきてパラレルワールド!!!!!
まさかの展開です!!
パラレルワールド系大好物なのでまさかの出現にわし興奮。
「じゃあここが無くなったら一生会えないんじゃ?」
オオカミ様に問い詰めても、「会えないこともない」といまいち煮え切らない態度。
約束の期限、3月30日は間近に迫ってきていた。
そんなある日、こころは城に行こうとしていたが、家が近所で同じクラスの東条さんと偶然話す機会を得る。
東条さんが転校してきたときは、仲良くなれると思っていたのに。
真田美織のせいで学校に行けなくなり、気まずくなった。
そんな東条さんが、今は真田美織のターゲットになっているらしい。
彼女は1年で転校するらしく、諦めていたが、二人で真田美織の悪口を言って初めて心が通った気がした。
「真田美織みたいな子はどこにでもいる」負けたくない、東条さんに誓いたくなったこころだった。
朝から色んな用事が重なり、もうすぐみんなとお別れなのに城に行けなかった日。
アキが約束を破った。
5時が過ぎても隠れて城から帰らなかったのだ。
その日城に行ったが時間を守って帰った心以外の5人も連れ戻されてオオカミに食べられてしまった。
こころに「助けて」というメッセージを残して。
そこからこころは仲間を救うために一人で荒れ果てた城に向かう。
鍵を見つけて皆を返してもらうために。
7人の子供たちの正体
荒れ果てた城に隠されていた×のマーク。
こころは気づいた。
机の下、ベッドの下、火の入っていないストーブの中、台所の戸棚、洋服ダンス、お風呂、時計の中。
それは、オオカミと7匹の子ヤギで食べられた子ヤギたちが隠れていた場所だったのだ。
その場に向かったこころの中に、6人の本当の姿が流れ込んでくる。
マサムネは、学校で「ホラマサ」と呼ばれていた。
どうしても「俺の知り合いが」と嘘をついてしまう。何気なく着いた嘘で、友人を傷つけた過去もあった。(城でも最新のゲーム機を知り合いが作っていて、その会社で働かないかって誘われているとかいっていた)
学校でうまくいかない原因を作ったのは自分かもしれない、と分かっていながらも、公立の教師をバカにする父親に乗っかってしまって学校に行かない自分を正当化してしまっていた。
誰も来ない保健室で泣くマサムネの背中をさする人物が見える。
スクールカウンセラーの喜多嶋先生だった。
ウレシノは、友達にお菓子をよくおごってあげていたがそれが保護者にばれて問題になった。
友人だと思っていた子からは、「金がないなら付き合う意味がない」と突き放される。
いつも何かを食べている姿をバカにされていた。
1月10日、学校は閉まっていたようで、母親と喜多嶋先生と空を見上げるウレシノの姿が見えた。
スバルは、母親が出ていき、父親も再婚したので祖父母に兄とスバルを預けていた。
毎日学校に行くようにスバルにぐちぐち言う祖父をかわしながら、誰も自分のために必死になってくれない人生が、楽だけどつまらないと感じていた。
どうでもいいと思っていた人生だったが、オオカミに襲われたとき、「まだ死にたくない」「みんなにも死んでほしくない」と思っていることに気づいた。
フウカは母親と二人で暮らしており、幼少のころピアノの先生に言われた「天才です」を真に受けた母親が狂ったようにピアノ漬けにしてしまい、体育も休ませるように。
学校で浮いてしまった。
お金はないのにピアノ漬けの日々で、コンクールで圏外になって思う、「いつまでやるの?」
学校に行ってないから勉強についていけなくなったフウカに勉強を教えてくれたのは喜多嶋先生だった。
リオンには、病気で長らく入院し亡くなった姉、実生がいた。
優しかった姉が死んでから、母親がおかしくなった。リオンの元気が、体力が半分でも実生にあれば。
本当は地元の学校に通いたかったのに、半ば強引にハワイの寄宿学校を選択した母親。
俺と一緒にいたくないのかな?リオンはそう感じていた。
アキは、おばあちゃんと暮らしていた。幼いころ父と別れた母は、再婚して義理の父親も出来た。
おばあちゃんが亡くなってから、アキは義理の父親から性的虐待を受けるようになった。
テレクラで知り合ったアツシくんとも連絡が取れなくなった。
私の日常をもうちょっとマシに変えてください。
その願いが叶わないなら、帰りたくない。生きられない。
アキを助けようとみんなが手を伸ばします。
そして、こころの声がアキに届きます。
このページはほんと何回読んでも泣ける。今も視界がぼやけています。ううう。
ちょっとやな感じの子だな、と思っていたアキ。
私は君を助けたい。抱きしめたい。こんな辛い経験をしている子供がいるなら、一人でも助けたい、偽善者っぽくなってしまいますが、強くそう思いました。
パラレルワールドじゃなかった!!
そうなんです、実はマサムネの推論は間違っていました。
実際には、時間がずれていたんです。
こころはみんなの記憶を見る中でそれに気づきます。
時間がずれていた
こころは城の大時計を開き鍵を発見。
「アキのルール違反をなかったことにしてください」と願いを唱える。
6人が、戻ってきた。
7人は自分が西暦何年を生きているのか確認する。
- スバル:1985年
- アキ :1992年
- こころ・リオン:2006年
- マサムネ:2013年
- フウカ:2020年
- ウレシノ:2027年
実は、これも要所要所に「あれ?話が通じていない」「なんかおかしい」というポイントがちりばめられているんです!
なので、自慢じゃないんですが。。。
私は生きている時間が違う!となんとなく思っていました!(えっへん)自慢。
でも、あのとき何気なく読んでいたところも、後からそういうことか~!と答え合わせされるのが気持ちいいこと気持ちいいこと。
これはぜひ実際に読んで体験してください。
オオカミ様の正体とゲームの目的は?
そう、まだ問題はそれぞれ抱えながら、ゲームとしては鍵を見つけ、城は閉城、おしまいとなります。
じゃあそもそも何のためのゲームだったのか?
最後の最後でそれも回収されます。
オオカミ様の正体は、リオンの姉、実生。
リオンは最初から疑っていました。
この城は、実生が入院中に病室で遊んでいたドールハウスに非常によく似ていると。
ドールハウスだから水や火が使えないのではないか。
願いの部屋や鍵など、物語を作るのが得意な姉らしい。
そして、城が閉まる予定だった3月30日は、実生の命日だった。
最初は、死んだ実生がリオンのためにやっているのかと思ったが、本当はあの6歳のリオンがいる病室から姉ちゃんはここにきているのではないか。
オオカミ様は答えなかった。
喜多嶋先生の正体
こころの町にある「心の教室」の喜多嶋先生。
話が通じない学校の担任とは違い、こころと同じ目線で考え、気持ちを分かってくれる先生にこころは信頼を寄せます。
そしてフウカやマサムネ、ウレシノの世界にも喜多嶋先生は登場し、支えてくれます。
実はその喜多嶋先生の名前は、「喜多嶋晶子」
アキが成長した姿でした。
ひいいいいい!!!ちょっと出来すぎてる感もあるけど痺れるうううううう!!!!!
アキが立派な大人になってて良かったよおおおおお!!!!
おばあちゃんが亡くなった後、その友人だという鮫島先生というおばちゃんに助けられて学校に行こうという気持ちになりました。
大学の教育学部に進学し、喜多嶋先生(総合病院のケースワーカー)と結婚します。
実は、喜多嶋先生は、病院に入院していて学校に通えない子たちを「心の教室」に連れていきたいと連絡していたのでした。
そこでアキは、生涯忘れられない出会いをします。
水守実生。
アキは闘病中の実生と出会っていました。
その出会いがきっかけで、学校の先生というよりは、学校にいけない子たちのための先生になりたいと強く思うようになったアキ。
そして、「心の教室」をまた一人の少女が訪れます。
安西こころ。
「私も、雪代五中の生徒だったの」
ここでえええええええ!!!!
最後の最後まで痺れるううううう!!!!
痺れる通りこしてもう泣いてる!!!!
読むたびに胸が熱くなる1冊でした。もう怒涛の伏線回収に感電死です。
小言
いかがでしたでしょうか。
この「ええええええええ?!?!ここで?!?!」を少しでも伝えたかったんですけど、私の拙い表現力じゃ難しいです。
これはぜひ本を読んでみてください!!!
映画化もちょうど12月にあるので本が苦手な方はぜひ映画で!
個人的には自分で想像する本が大好きなんですが、これは本当に良すぎたので映画も観てみたい。
アキイイイイイイイイ!!!
良く立ち直って、素敵な素晴らしい先生になったなぁとフィクションながらどうしようもないくらい胸が熱くなりました。
伏線回収の見事さは言うまでもなく、一人一人の心理描写がやはり辻村深月先生は秀逸なので、胸がきゅっと苦しくなる場面も多いです。
自分でも言葉にできないこの感情を的確に文章にできるのほんとすごいです。。
しかも人には言えない、言いたくない後ろ暗い感情もバシっと表現されるので毎回脱帽です。
本屋大賞を受賞されるのも納得の1冊でございました。
内容を忘れたくなくて長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでくださってありがとうございます!
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