「オーデュボンの祈り」あらすじネタバレ有。伊坂幸太郎デビュー作。パズルのピースが揃っていく快感。

ミステリー
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オーデュボンの祈り(伊坂幸太郎)



明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします!

2023年一発目は、読書の記録から。



伊坂幸太郎さんのデビュー作、「オーデュボンの祈り」の紹介です。

伊坂幸太郎さんの本は他にもご紹介しています↓

人気すぎて未読だった伊坂幸太郎。読み始めたら最後の徹夜本「ペッパーズ・ゴースト」ネタバレあらすじ

ほんと面白すぎて今回も徹夜です。






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ざっくりあらすじ(ネタバレ無し)



コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、目が覚めると知らない部屋にいた。

そこは「萩島」という、江戸時代以降外界から遮断された誰も知らない島だった。

自分の住む世界と少しずつ違う違和感を抱きながらも、どこか愛着を持ってしまう不思議な島と不思議な島民たち。

そこには人の言葉を話し、「未来が見える」カカシがいた。

自分の世界では考えられない存在ながらもカカシを信じ始める伊藤。

しかし翌日、カカシはバラバラにされ殺される。


未来が見えるはずのカカシはなぜ殺されたのか?



はい、ここだけ読むとわけわかりません。

話せるカカシ?ファンタジー?どういう話?

不思議な世界観ですが、読むとあっという間にその世界に引きずり込まれ、違和感も消し去ります。

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ざっくりあらすじ感想(ネタバレあり)



ここからはネタバレがあります!

まだ未読の方は絶対に読んだ方が面白いのでここから先は読まないでください!!

え、どういう話?どういう結末になるの?!と最後まで展開が読めません。

この面白さ!!!短いのでさくっと読めます。


一度読んだけどどういう話だったっけ?という人、どうぞ!




登場人物




仙台メンバー

伊藤:プログラマー。仕事をやめた後にコンビニ強盗やっちゃう。
静香:仕事命、仕事に自分の存在価値を見出している。伊藤の元カノ。
城山:伊藤の同級生。悪意の塊。狂っている。一番なってはいけない人がなってしまった警察官。


”萩島”メンバー

優午:喋るカカシ。未来が見える。百年以上同じ場所に立っている。
轟:クマみたいなおじさん。島で唯一外界と行き来できる。伊藤を島に連れてきた。
日比野:伊藤の世話係。島のペンキ屋。ちょっと変わっている?
桜:島のルール。何かやらかしたやつを撃ち殺すことが許されている。
小山田:島の警察官。日比野の幼馴染。
田中:股関節の病気?で右足が不自由。鳥が好き。
曽根川:伊藤よりも先に萩島に上陸した外部の人間。嫌な奴。




連れてこられた伊藤




勢いでコンビニ強盗を働き、同級生であり、悪意の塊であった城山に逮捕される伊藤。

連行中に殴られたところ、パトカーが事故を起こし、そのどさくさに紛れて轟に連れてこられた。

最初は喋るカカシがいる不思議な島を信じられなかったが、日比野の案内で村人たちと会う中でどこか居心地の良さを感じる。


外界から人間が入ってきたのは百年以上前だったらしく、待ち望まれた人間?かと少し喜ぶも、自分より先に曽根川という男が入ってきておりがっかりする。

ただ、曽根川は伊藤とは違い、嫌な奴感が前面に出ており島民から嫌われている。

轟と商売の話をして、猟銃を持ってやってきたらしい。



カカシの優午が殺される




眠れなくて深夜、一人優午のもとを訪れた伊藤。

未来が見えるが、決してそれを教えてはくれないカカシが、伊藤に助言めいたものをくれる。


「田中からオーデュボンの話を聞きなさい」

「自転車に乗りなさい」

「手紙を書き続けなさい」



その翌日、優午はバラバラにされ殺された。

頭の部分だけが持ち去られていた。



島民たちの心の依り代であった優午の死に、皆が深い悲しみに包まれていた。



そして曽根川も殺された。



今までは島で事件が起こると、警察は優午に犯人や逃げた場所を聞きに行っていた。

しかし優午がいない今、無能な警察はあたふたするばかりであった。




タイトルにもある、オーデュボンとは?





伊藤は優午に言われた通り、田中のもとを訪れ、オーデュボンについて聞いた。



オーデュボンは江戸時代の動物学者で、実物大の精密な鳥の画集を作成した。

彼はリョコウバトを発見した。20億羽もの群れで空を覆いながら飛ぶ鳥だが、1914年に絶滅した。

数十億羽もの群れで飛ぶリョコウバトの下には、必ずハンターが現れた。

急激な人口増加で食料不足の危険があったアメリカでは、リョコウバトは重要な食糧源だったが、それ以上に単純な狩りの獲物として殺された。

数十億羽もの群れ。

数が多すぎて、誰も絶滅するなんて想像もしなかった。


リョコウバトは繁殖力が弱かった。

膨大な群れで群れて初めて繁殖が出来た。そのため、虐殺が始まって子供の数は急激に減っていった。

田中はオーデュボンが描いたとされるリョコウバトの絵を大事そうに持っていた。




優午を殺した犯人は?




なぜ未来が見えるはずの優午は自分の死を防げなかったのか?


それがずっと気になって仕方ない伊藤。


そもそも優午を殺す理由は何なのか。

小山田の一言「犯人が分からないように優午を殺す」が的を得ているように感じていた。


その後その考えは真実だと気づかされる。

曽根川が殺された。


優午がいないので、犯人が分からない。



島民たちと話しながらピースを埋めていく伊藤。

ある日、田中(右足が不自由)が古い塔に一人で登り始める。

皆はやめろ!危ない!というのに聞かないらしい。



伊藤は優午との会話を思い出し、自分が助けに行かねばならないと悟る。



優午を殺したのは田中だった。



鳥と優午だけが友達だと言っていたのに。


なぜ殺したのか。

優午に頼まれたという。


優午はうんざりしていたのかもしれない。

百年以上もずっと繰り返し人々が聴きに来る。
大切にされ、頼りにされても、同じくらい糾弾されてきたかもしれない。

未来が見えるのに、それを変えられないことを知っている。

悲しい現実に襲われた人は、「教えてくれれば良かったのに!」と優午を責めることもあっただろう。

知っているのに誰も救えない。

重荷だった。



そして最後に守ろうとした。




絶滅したはずのリョコウバトを。



数週間前、萩島にリョコウバトのつがいがいるのを田中が気づく。

まさにリョコウバトが絶滅の危機に瀕していた時代、鳥からそのことを聞いていた優午は悲しみを通り越して怒りを感じていたという。

再び現れたリョコウバトを撃ちにやってきたのが曽根川だった。

轟から聞いたらしい。


優午の最後のお願いが始まる。






城山の猛追




小学生のころから悪意の塊だった城山。

しかし、親が有力者であり成績も良かったので親からは人気があった。

伊藤の唯一の肉親であった祖母だけが、「あいつに近づいてはならん」と警告していた。


そのまま警察官になった城山は悪行の限りを尽くしていた。

この城山がやっていた行為が何度も思い返されるのですが、胸糞も胸糞。

極悪サイコパスで怖すぎます。。むりぃいいいい!



伊藤を逃がしてしまったことから執着してしまい、伊藤の元カノ静香のもとを訪ね、静香を襲うことを計画。(実際には気持ち悪いおっさんに襲わせる計画)



まさに計画の日の朝。静香のもとを訪れて睡眠薬を飲ませようとしたところに来客者が来る。


それは、伊藤から静香への手紙を預かった轟だった。

伊藤が轟を島から離れさせるために「急用」だと偽って書いた手紙を直接静香に届けに来ていた。


伊藤が仙台で見つかったと嘘をついていた城山の前で、伊藤は島にいるという轟。

静香は訳が分からなくなっていたところ、城山は表情を変え、轟に拳銃を突き付け島の伊藤のところまで連れて行けと命令する。



ひいいいいい!城山が島に来ちゃううううう!!!

阻止して!怖すぎるよおおおお!!!





曽根川殺害の犯人は?





島民は生前の優午から様々なお願いをされていた。

普段優午が未来のことを離すことはないので、頼まれた人間はそれこそ誇りをもってそれを完遂した。


田中は優午をバラバラに殺害し、頭部だけを道の真ん中に置いていった。

園山は落ちていた頭部を拾って丘の上に置いた。

佳代子は日比野をデートに誘った。

伊藤は日比野と佳代子を自転車のライトで照らした。

轟はブロックを拾った。

若葉は草で罠を作った。

田中は夜、曽根川を呼び出した。




田中の目的は呼び出すだけだったが、怖くて不安だったので足元にたまたまあったブロックを拾って手に持っていた。

曽根川と対面すると、急にライトの光が二人のもとへフラッと揺れた。

すると曽根川は足元の何かにつまづき、田中の足元へと転んだ。

田中はその拍子に両手に持っていたブロックを落としてしまった。



それが優午が仕組んだ曽根川殺害の方法だった。

動けない、自分で殺せない優午は、長い準備を経てリョコウバトを守ろうとしたのだった。





城山ついに上陸




轟のボートでついに萩島に上陸してしまった城山と静香。

伊藤が絵ハガキに「君のサックスが聴きたい」と書いていたため、静香は城山にサックスを持ってこさせられていた。


まっすぐ伊藤の家に向かおうという轟に対し、「疲れたからあの家で休ませてもらおう」と命令する城山。

渋々轟が向かったその家は、桜の家だった。



軒下に座っていつものように詩集を読んでいた桜に近づく城山。



「踏んでいる」


城山の足の下には、桜が埋めた花の種があった。

拳銃を城山に向ける桜。

静香には考えられなかった。


有無を言わせず従わせる力が城山にはあった。

その城山の命令を聞かずに拳銃を向けている一般人。


破裂音が聞こえると、城山は股間を抑え込んで悶え苦しんでいた。



桜ああああああああ!!!!最高だあああああああ!

大魔神をあっさりと殺してくれた;;!!!

伊藤に会わないでくれと強く願っていたので本当に桜ありがとうでした!

どことなく皆が敬遠している桜に、ちょっと伊藤は心を許されてる感があるかな~?と思っていたのでもう!

即死じゃなくて苦しんで死んだのも良し!!



優午を作ったのはだれ?






1855年、江戸時代、鎖国が終わりを迎えるころ。

すでに荻島は200年前に西欧の保養所として開かれていた。

元々は、遣欧使節団そして伊達藩に派遣された支倉常長が、宣教師を頼みに外国へ行ったが、その途中で鎖国が始まり失敗して戻ってきたことに始まる。

戻ってきた支倉常長は、流刑地にほど近く存在を忘れ去られていた荻島に外国船を呼び込むことを考えつく。

西欧の文化を取り入れていた荻島は、その後日本とは逆に外界を遮断することになる。



荻島を統治する白石家は、西欧との交流によって生まれた利益の大半を得ていたが、そのことで農民の自由を脅かすことは今までなかった。

しかし、きな臭い人間たち、国粋主義、ナショナリズムとでもいうような思想を持ったものたちが白石の周りへ寄ってきて、あることないことを吹き込んでいるという。

日本が鎖国を解こうとしているこの時代に、白石はその者たちに誑かされて外界を遮断するという。


禄二郎はその白石の状態を案じていた。

それをどうしようもないと止めていたのが幼馴染の徳之助


ある日徳之助は血だらけになった禄二郎を見つける。

禄二郎は、白石家に直訴に行ったところ、門もくぐれずに白石の取り巻きにやられたらしい。

死の間際まで禄二郎が作ったのがカカシだった。


自分にはこの島を救えなかった。

島は外界から遮断されてしまう。

だがこのカカシが島を時代遅れにはさせない。



禄二郎のそんな思いから優午は生まれたのだった






1855年、江戸時代、鎖国が終わりを迎えるころ。

すでに荻島は200年前に西欧の保養所として開かれていた。

元々は、遣欧使節団そして伊達藩に派遣された支倉常長が、宣教師を頼みに外国へ行ったが、その途中で鎖国が始まり失敗して戻ってきたことに始まる。

戻ってきた支倉常長は、流刑地にほど近く存在を忘れ去られていた荻島に外国船を呼び込むことを考えつく。

西欧の文化を取り入れていた荻島は、その後日本とは逆に外界を遮断することになる。



荻島を統治する白石家は、西欧との交流によって生まれた利益の大半を得ていたが、そのことで農民の自由を脅かすことは今までなかった。

しかし、きな臭い人間たち、国粋主義、ナショナリズムとでもいうような思想を持ったものたちが白石の周りへ寄ってきて、あることないことを吹き込んでいるという。

日本が鎖国を解こうとしているこの時代に、白石はその者たちに誑かされて外界を遮断するという。


禄二郎はその白石の状態を案じていた。

それをどうしようもないと止めていたのが幼馴染の徳之助


ある日徳之助は血だらけになった禄二郎を見つける。

禄二郎は、白石家に直訴に行ったところ、門もくぐれずに白石の取り巻きにやられたらしい。

死の間際まで禄二郎が作ったのがカカシだった。


自分にはこの島を救えなかった。

島は外界から遮断されてしまう。

だがこのカカシが島を時代遅れにはさせない。



禄二郎のそんな思いから優午は生まれたのだった


ちなみに、そのカカシを田んぼまで運んだのは徳之助で、実は日比野の祖先らしいという描写が出てきます。


この島に唯一足りないものは?





この島に伝わる言い伝え、「この島には唯一足りないものがある」

「それは外界から来た人物が持って来て丘の上で島に与えてくれる」


伊藤は日比野からこの言い伝えを教えられ期待されてからずっと気になっていた。

考えても考えても出てこなかった。



優午と曽根川殺害の犯人が分かった翌日、日比野が伊藤を叩き起こしに来る。

またか、と思う伊藤に、「静香が来ている」と告げる日比野


驚愕する伊藤は静香のもとへと向かう。

城山も来ていて桜に撃たれて死んだという訳の分からない展開に戸惑うも、静香がサックスを持ってきているのを見て急にすべてがわかる。


この島に唯一足りないもの。


それは音楽だった。


気づけば島内で音楽を聴いていない。

そしてそれは外界からやってきた人物、静香によってもたらされるのである。


伊藤は優午の頭部が置かれた丘の上に静香を連れていき、サックスを吹くように頼む。




小言



どうでしょう!この先の読めない展開と、きれーーーーーいにまとまる爽快感!

あまりにも綺麗すぎる気もしますが、読んでて気持ちがいい!

すべて回収!


個人的にはあんなに恐れた城山の最後があっけなさすぎて逆に斬新!気持ちが良かったです!


喋るカカシ??や不思議な島民が沢山出てくるので最初は本当に???という感じだったのですが、そのそれぞれに丁寧な背景描写があり、読むと全然不思議じゃなくなる不思議。

ざっくり大まかな流れしか書いていないので、ぜひとも読んで細かな部分にも感動してほしい一冊です!



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