短編なのに毎回どんでん返し!「6時間後に君は死ぬ」(高野和明)あらすじ紹介(ネタバレあり)

ミステリー
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「6時間後に君は死ぬ」(高野和明)



おはようございます、2歳の娘の可愛さがとまらない、みかんです。

ぺちぺち喋っているのが可愛すぎて!!!

2歳最強かな。



本日は、私が代々大好きな作家さん、高野和明さんの面白すぎる短編集「6時間後に君は死ぬ」のご紹介です。

「ジェノサイド」に出会った時の衝撃は忘れられません。

こんなに読むのを止められなかった小説は初めてでした。

そんな高野和明さんの短編集です。

短編集なのに、どのお話も短い中にどんでん返しが!!しかも本当に結末が読めない!

「この人が怪しい」

は大体当たるのですが、この本に限っては本当にあたらない。振り回されます。

めちゃくちゃ面白いので、ネタバレ読む前に実際に読んでみてください!!



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ざっくりあらすじ紹介(ネタバレ無)



こちらはネタバレそんなにしないざっくりしたものなので、ちょっとどんな話か興味あるな~という方は見てみてください!


6時間後に君は死ぬ




25歳の誕生日まであと6時間。

原田美緒はそんな日に急に街で細身の男に声を掛けられる。

「6時間後に君は死ぬ」

新手のナンパかやばい奴だと逃げ出そうとするも、その男が直近の美緒の未来を当てたため、男と行動を共にすることにする。

男は他人のビジョン、未来の映像がみえるときがあるという。

今日と同じ服装、髪型で、腕時計は12時を指していた。
どこかの暗がりで胸のあたりにナイフが刺さっている姿を見たらしい。

美緒は自分を殺しそうな男に心当たりがあった。
最近ストーカーの被害にあっていたのだ。

急いで知り合いのいる警察署へ向かう。
知り合いの警官に誕生日のことを話してストーカーと思われる男の家へ向かう。

美緒と面談していた警官は、その後「連続通り魔事件合同捜査本部」の会議室へと入っていく。

今までの2人の被害者は、殺される前に自分の死を予言する「預言者」と会っていたらしい。



時の魔法使い


脚本家を目指し下積みをしている朝岡未来は先の見えない日々に疲れ果てていた。

明日の生活にも困窮する中で、終わらない不規則な仕事。

普通の幸せな毎日のために働き続けた父親が死んでから、環境が変わった。

ある日何もかも嫌になって幸せだった幼少期に過ごしていた街に、自宅が会った街に行ってみようと思いなけなしのお金を持って向かった。

小さいころに遊んでいた神社に向かう。

そこにあった防空壕の中で、未来は丸一日行方不明になり見つかったという過去があった。

記憶は何もなかったが、懐かしくなり入ってみると、そこには一人の女の子がいた。

ちょっと昭和っぽい格好に自分にそっくりの顔。

20年前の自分だった。





恋をしてはいけない日


可愛いので彼氏をとっかえひっかえしていた未亜はそこまで彼氏に執着できず、また別れてしまう。

今までは彼氏が途切れることがなかったが、今は中々できない。

寂しい気持ちの中、唯一の友人から百発百中の占い師がいると教えてもらい、一緒に会うことに。

その男から、「今度の水曜日だけは人を好きになってはいけない」と言われる。

なぜか信じてしまい、恋が始まらないように化粧もせず部屋着で買い物に出かける。

その途中、交通事故を見かける。

車に轢かれたのは見た目がダサい若い男だった。

その様子に倒れそうになったところを、若い男性に助けられる。

彼は優しく、今までの彼氏たちとは違い何も気を遣わなくて居心地が良かった。

「恋をしたらだめだ」と言われた水曜日に、未亜は初めて恋をした。

しかし、時間が経つにつれ、大好きな彼に異変が起こる。



ドールハウスのダンサー



プロダンサーを夢見てオーディションを重ねる香坂美帆。

何度受けても受からず疲れていた。

そんな日々の中、「この景色みたことある」というデジャヴが度々襲う。



あるリゾート地の一角にひっそりと建つドールハウス博物館。

そこは、一人のドール作家の作品を展示する小さな博物館だった。

展示物の最後に飾られてある7つのドールハウス。

それには共通して一人の女性がでてくるようだった。

館長によると、このドールハウスは開館と同時に閉館の日が決められていたという。

その最終日はたった一人のお客さんのための1日らしい。


3時間後に僕は死ぬ


結婚式場を訪れた山葉圭史は、3時間後に自分が火に焼かれて死ぬというビジョンを見る。

それを結婚式場の職員であり知り合いだった原田美緒に伝え、二人で何が起こるのか、どうしたら防げるのかを探っていく。

色んな人のビジョンを探っていくうちに、死ぬのは圭史だけではなく、大学教授の退官パーティーに出ている人間が150人ほど巻き込まれて死ぬということが分かった。

火事ではない。

爆発が起こる。

二人は結婚式場にいるすべての人間から怪しい人物を探し出そうとする。




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ネタバレ有!あらすじや感想



ここからは、ネタバレがあるので一度読んだけどどんな話だったっけ?と知りたい方だけ読んでください!

何を隠そう私も、読んだことあったのに全然記憶になくて、「この人が怪しい!」「いや違った」「こっち?!」とわくわくしながら2回目を読んでいました。

後半で、「あれ?これ知ってるな・・・読んだことあるな?」ということには気づいたのですが、結局最終的にどうなるかまでは覚えていませんでした。

こういうことが多くて、このようなブログを始めたんですね。

ということで、ここからは結末もばしばし書くので、まだ読んでいない方はぜひ書籍を手に取ってから!

お願いします!めちゃくちゃ面白いので。


ではネタバレいきます!



6時間後に君は死ぬ(ネタバレ有)



最初から圭史をイケメンで想像していたので、狙われている女の子とバディ組む感じかな?と思いきや、警察の通り魔殺人事件で2件とも直前に自分の死を予知する預言者に会っている、という情報から「あれ?圭史が犯人?」「ずっと一緒にいるから日付変わったときに殺せるの?」とざわざわし始める。

途中ちょっと顔見知りの警察官、沢木が怪しいな?と思ったけど、結局圭史が工事中のビルでナイフを取り出したので「やっぱり圭史なのー?!」となる。




沢木からおとり捜査を頼まれてビルに連れて行った美緒。

現れた沢木に圭史が撃たれ、「そうだったのか」と思いきや、沢木が豹変。

やはり連続殺人事件の犯人、美緒を殺そうとしていたのは沢木だった。

若い女性に因縁があるという。

沢木はナイフで美緒の胸を刺す。

喉元にその刃が届きそうになる寸前、撃たれたはずの圭史が起き上がってナイフで沢木を刺す。

時報は24時直前だった。


殺された女性二人と美緒は同じデートクラブで働いていた。

摘発され今は解体されていたが、その時に所属していた女の子たちは全員取調べを受けていた。

デートクラブでは本名などは一切名乗っていなかったのになぜ分かったのか。

美緒はそこから警察関係者が怪しいことに気づく。

人気のないビルへのおとり捜査を依頼されたこともあり、沢木を疑う。

二人が無事だったのは、ミリタリーオタクの知り合いに防刃ベストと防弾チョッキを借りていたからだった。


美緒は圭史に「付き合わない?」と聞くが、「君はタクシー?ぼくは地下鉄の始発を待つよ」と答える。

それが圭史の答えだと、美緒も引き下がる。

圭史は美緒のビジョンの中に、60年後の彼女を見る。

60年後の彼女は家族に囲まれて安らかに笑っている。

その隣には、自分ではない男性が寄り添っていた。




時の魔法使い(ネタバレ有)


現実に疲れ果てた女性が、20年前に神隠しに会っていた自分と出会う話。

未来の生活が大変で胸が苦しくなるも、20年前の少女の未来に会ってからは周りが明るく見え、何事も楽しく感じる、という描写で読んでいるこちらもにこにこしてしまった。

そしてなんとここにも出てきた山葉圭史!!!



未来が心理学の取材をした関係で知り合ったらしく、未来ちゃんの記憶を消すために未来に協力してくれた。

父の死から辛くなった生活。

色んな所で選択を間違えたのかもしれない。

あのとき、こっちを選んでいれば。



その思いに苛まれていた未来だったが、圭史から「未来ちゃんの行動を変えれば、後悔を無くすことができるかも」と言われ、考える。

しかし、何もしないことを決めた。

すべてが自分だから。


未来ちゃんは未来の記憶をすべて消されて防空壕の中で両親に発見されることになる。



恋をしてはいけない日(ネタバレ有)




男をとっかえひっかえしていた未亜は、百発百中の占い師に会い、「今度の水曜日は恋をしたらだめ」だと言われる。

その占い師が山葉圭史だった!!!!

圭史ーーーー!!!



未亜は例の水曜日に交通事故でさえない男性が轢かれて亡くなるのを目撃する。

目撃したショックで倒れてしまった未亜を助けてくれた山岸真吾に一緒にいてもらううちに、彼の素朴さ、気を遣わなくてよい雰囲気に恋をしてしまった未亜。

それから毎日真吾の家を訪ねる。

今までの彼氏のようなおしゃれなマンションに住んでいるわけでもなく、古いアパートだったがそこが落ち着いた。

通路に置かれた洗濯機の裏に家の鍵を隠しているらしい。

そんな真吾といる時間に幸せを感じていたが、急に真吾の様子が変わることがあった。

未亜のことを「お前誰だよ」と冷たい眼でみて突き放してくる。
「おれは真吾じゃねえ」と部屋から出て行ってしまう。

時間が経つと真吾に戻るが、何か異変が起こっていた。


しばらくして、警察が未亜のもとを訪ねてくる。

轢かれた被害者の身元が分からないという。

死んだ男性を思い出すのが怖くて何も知らない!と追い返す。


真吾の異変が続くので圭史に話を聞いてもらうと、「その人しか知らないことを知っていれば憑依の可能性が高い」と言われる。

真吾が別人になったとき、名前を聞いてみると、「都築浩志」といい、「恵比寿」に住んでいるという。

未亜は急いで警察に電話し、亡くなった男性は都築浩志ではないかと話す。

真吾は憑依されていた!真吾を救うためには、浄化が必要だということで、自身が通う大学の神父に相談し、聖水を分けてもらった。

未亜はカトリック系の女子大に通っていた。

真吾は不在だったが、真吾の家に聖水をまいてきた。


その後、警察から連絡が入る。

都築浩志という人間は、恵比寿に住んでいるという。

訳が分からず混乱する未亜だったが、事態に気づき、ショックで崩れ落ちそうになる。

交通事故で死んだ被害者は、真吾だった。

憑依していたのは真吾だった。


急いで真吾の部屋に戻ると、真吾は穏やかな表情だった。

ひどいことをしたと謝る未亜に、「未亜に送ってもらえてよかった」と返す。

「未亜は素敵な女の子だよ」と言い残して真吾は消えていった。



このお話大好きです。

途中で真吾の正体に気づくと思いますが、「本人しか知らないこと」で「洗濯機の裏の鍵」というのは、ひゅんっとしました。





ドールハウスのダンサー(ネタバレ有)





こちらも、「時の魔法使い」と同じく、夢を追いかけるも厳しい現実にうちのめされている女性の描写が生々しくて読んでいて若干辛い気持ちになります。


プロダンサーになるべくオーディションを受け続けるも日の目を見ない香坂美帆。

度々デジャヴに遭遇する。


場面は変わり、あるリゾート地にひっそりと建つドールハウスの一角に、そのデジャヴと同じ場面を描いた作品が7つ飾られていた。

そのドールハウスは、菅原小夜子という一人のドール作家が建てたもので、開館と同時に閉館が決まっていた。
たった一人のために建てたものらしい。

その一人が誰なのか、小夜子の甥である館長も知らなかった。



美帆は子供時代の友人と久々あったとき、修学旅行でドールハウスを訪れたことがあったことを思い出す。

なぜか急にそこに行きたくなり、一人で電車に乗り込む。


美帆はドールハウスで自分の人生の一場面を切り取られた7つのドールハウスを見て衝撃を受ける。

4年前にここと訪れていたこと、現実がその通りに進んでいったこと。

なぜ小夜子は美帆の未来を知っていたのか。


小夜子には、当時5歳になる孫の圭史という男の子がいて、大病を患い静養に訪れていた。

その孫と楽しそうに話す日々に、このミュージアムを作ることを思いついたらしい。


ここで圭史!!!5歳の圭史が出てきました!!!

そうです、圭史がどこかで見かけた美帆のビジョンを見てそれを祖母の小夜子に伝え、小夜子がドールハウスとして残したのでしょう。


館長から誰も中身を知らない、最後のお客さんのためのプレゼントが美帆に渡される。

その中身は、3体の人形、父親と母親、乳母車に乗った子供だった。

母親の造形は美帆だった。

これが私の未来?

美帆は怪訝に思ったが、お父さんの人形の頭に寝癖がついていたのですぐに納得できた。

最近新しく職場の取引先として会社で見かけた人が、同じような寝癖がついていたのだった。


その後美帆は、しぶしぶ始めた職場でも能力が認められ始め仕事を任せてもらえるようになった。

会議にも出席するようになり、名刺を差し出した。

自分の夫となる、寝癖を付けたプログラマーへ。


なんでしょう!この終わり方!!

夢は叶わなかったけれど、幸せな気持ちになる作品ですね。

寝癖ついている人ー!!!!自分の夫になる人って知って出会うのドキドキしますね。。



3時間後に僕は死ぬ(ネタバレ有)



最後のお話は、山葉圭史が主人公です!

結婚式に招待され会場に向かう圭史を不吉な現象が襲う。

不安なまま会場に到着すると、以前「6時間後に君は死ぬ」と告げ、ともに連続通り魔殺人事件の犯人と戦った原田美緒が働いていた。

原田美緒のビジョンを見ることで、圭史は自分が3時間後に焼死することを知る。

ビジョンは変えられないと絶望する圭史に、なんとかする!と意気込む美緒。

美緒が結婚式場で働きだしたのは、実は再び圭史に会うためだった。

連絡先も知らなかったので、不特定多数の人に会える場所で探そうとしていたのだった。


式場にいる人々のビジョンを見ていく中で、死ぬのは自分だけではなく、2階の大学教授の退官記念パーティーに出席している人が訳150人ほど死ぬことが分かった。

結婚式場にはいたるところに防火装置があり、火事でそんなに多くの人が亡くなることは考えにくい。

そこで二人は、爆発が起こるのではないかと予測し、式場内をくまなく探し、圭史はビジョンを見まくる。

しかし怪しい人物や物は見つからない。

唯一拳銃を携帯する怪しい目つきの男を見つけるが、その人は教授が脅迫されていたため派遣された警察官だった。

教授は化学が専門だったので、招待された人も関係する人が多かったが、以前教授の部下たちが数名実験の失敗によって亡くなるという事故が起きた。

そのことで脅迫されていたのだろうと推測され、警察官は防弾チョッキも持って来ていた。

その被害者の身内か、教授を妬む誰かなのか。

あらゆる人物を観察しても見当がつかず、ふと外注で来ている工務店の人間が4人建物にいることを思い出す。

しかし彼らも爆弾犯ではなさそうだった。

刻々と迫るなか、運命は変えられないのか圭史のビジョン通りに進んでいく。

祝賀会が終わりに差し掛かった時、急に教授が出入り口の方へ行き、背を向け小さなカプセルを取り出す。

教授は、事故で部下を死なせてしまったにも関わらずのうのうと退官まで来てしまったことが許せず、自分の死をもって謝罪するつもりだったようだ。

それを止めようとまぎれていた警察官が拳銃を教授に向ける。

その背後には、屋上での作業を終えた溶接工たちが本来ならばいるべきでない建物内に足を踏み入れこちらに向かってきていた。

二人の手押し車には、「酸素」と「アセチレンガス」と書いてあった。

そこで美緒は理解する。

教授の自殺を食い止めようと足を狙って打った警察官の銃弾が、その背後を通る溶接工のガスボンベを貫き爆発する。

咄嗟の判断で美緒が「防弾チョッキ!」と圭史に呼びかけ、圭史がそれを投げて銃弾を止めた。


圭史のビジョンは未来ではなくなった。


すべてが終わった後、美緒は5年越しに圭史に「私と付き合おうとは思わない?」と告白する。

5年前は、美緒のビジョンの隣には圭史ではない人物がいたため、断った圭史。

実はその男性は、教授の部下で当日司会をしていた手塚だった。
ビジョン通りならば、爆発で圭史は死に、美緒は手塚に助けられていた。

その流れで付き合い結婚、という未来になっていた。

しかし、圭史のビジョンは覆された。

圭史と美緒の二人で変えたのだった。

ビジョンは変えられないと5年前は美緒の前から姿を消した圭史だったが、自分が死ぬというビジョンが変えられたことで、未来は変えられると知り、今回は美緒の手を取ったのだった。



えーーーーー!!!5年越しかーい!!!とめちゃくちゃ幸せな気持ちになる短編でした。

でも短編とは思えないハラハラ感。

最初は手塚が怪しい。
その次は警察官が怪しい。
途中から、工務店の人たちもそういえば入り込んでいる!怪しい!
え犯人誰何??状態。

皆怪しい(笑)

それでも最後は矛盾点もなくビジョンが現実になりそうで読むのを止められませんでした。

圭史好き!



小言


ということで、高野和明さんの「6時間後に君は死ぬ」でした!

本当に高野和明さんの小説は、全部はちゃめちゃに面白い!
どうやって思いつくんだろう、そしてどうやってこれほどまでに作りこめるんだろう、と毎回驚愕します。

一押しはやはり「ジェノサイド」なのですが、長編小説は抵抗ある、、という方には、本日ご紹介した「6時間後に君は死ぬ」がおすすめです。

短いのにどんでん返しがすごい!

読んでて幸せな気持ちになりますね。

こんな面白い1冊に出会えた、、、という感動で。


「誰が犯人?!」「全員怪しい!」がお好きな方には、宮部みゆきさんの「レベル7」もおすすめです!

全員怪しい!宮部みゆきの名作『レベル7』のあらすじネタバレ有り!怒涛のスピード感で話は予測不能の結末に。

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これもぜひとも事前情報なしに観ていただきたいおすすめ作品です!

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