必ず2度3度読み返したくなる究極の徹夜本『葉桜の季節に君を想うということ(歌野晶午)』あらすじ・ネタバレ有り

ミステリー
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葉桜の季節にきみを想うということ




おはようございます、いかそうめん食べながら金田一の再放送見てます、みかんです。

久しぶりに食べると美味しくてずっといかそうめん食べています。

うまい…

私が読んだ本のあらすじを書いている理由。

それは、「読んだ内容を全然覚えていない」から。

今回は、まさにそんな一冊です。

本日紹介する本は、図書館で借りたのですが、読んでて気づきました。

これ読んだことある;;

ね。

何となく読んだことあるのがわかりますよね。
なのに、全っ然結末覚えていないんですよ。。

私の脳みそどんなっとるんか。

この後どうなる、くらいは覚えているのですが、結末は全く覚えていませんでした。

これが悔しくて読んだ本のあらすじを記録するようになったんです。

「葉桜の季節に君を想うということ」は、人間の先入観の強さを思い知る一冊です。

最後予想外の展開になるので、前情報なしで読んだ方が1000%面白いです。

なので、これから読もうとしている人は絶対に読まないでください!

それではまいります!



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あらすじ

成瀬将虎を巡る3つの物語。

一人で座っている男性

  • 成瀬将虎は同じジムに通う高校の後輩、キヨシの頼みで久高愛子の亡くなったおじいさん久高隆一郎の交通事故の真相を探り始める。そこには「蓬莱倶楽部」という怪しげな押し売り会社が関わっていた。
  • 成瀬将虎はある日駅のホームから飛び降りた女、麻宮さくらを助ける。駅員からの聴取にも付き合ってあげ、それから2人はデートを重ねる。
  • 成瀬将虎は以前パソコン教室の先生をしていた。その時の生徒で安藤士郎というおじいちゃんと度々焼き鳥屋で飲んでいた。安さんには小さい頃に別れてしまった娘、千絵ちゃんがおり、死ぬ前に娘が元気にしているか知りたいと相談される。

+α

  • 成瀬将虎は高校卒業後すぐに探偵事務所に入社。そこでヤクザ事務所に内偵に入る。しばらくはヤクの運び屋をしていたが、住む家がなかった将虎に家に住まわせてくれた世羅元輝が惨殺される。

  • 古屋節子は蓬莱倶楽部に搾取され続け、その片棒を担ぐようになる。死んだ高齢者になりすまして年金を不正受給、高齢の独身者に取り入り蓬莱倶楽部に言われた通り連れ出し、その後男が死亡、その保険金を蓬莱倶楽部に流す。

では、ここからネタバレあります!
最後の「ええええええ?!」を体感したい方は、絶対に読まないでください!!!

久高隆一郎殺しと蓬莱倶楽部

札束

久高隆一郎は、いわゆるお金持ちで、地位も高かった。

そんな隆一郎だが、年を重ね病気になると途端に弱気になり、たまたまチラシが入っていた蓬莱倶楽部に金を5000万ほどむしり取られてしまう。
家族から散々怪しいと言われながら高級布団を何十セットも買い、1本2万円の水も大量に購入してしまっていた。

そんな隆一郎が、人気の無い道で車に轢かれて死んだ。

保険会社から「企業から保険金がかけられています」と連絡を受けた久高愛子は覚えのない会社に違和感を覚える。
隆一郎は蓬莱倶楽部に殺されたのではないか。

そうして蓬莱倶楽部の調査を同じジムに通う成瀬に頼んできたのだった。

成瀬は妹とともに蓬莱倶楽部の販売会に参加し、事務所を突き止めた。
キヨシとともに清掃員に成り代わった成瀬は、社員がいなくなった隙に事務所内を調べる。

しかし、社員に見つかってぼこぼこにされる。
危ないところで火災装置が鳴り、煙が立ち上る。
社員たちは避難し、成瀬たちは麻宮さくらに助けられる。

なぜここにいるのかと驚く成瀬に、「最近会えなくて怪しかったからタクシーで後をつけてきた。するとあなたが縛られて危険そうだったから、火をつけて火災装置機を鳴らした」とのことだった。

もう危ないことはしないで、蓬莱倶楽部には行かないで!とさくらに懇願されるが、男が途中で投げ出せないと成瀬は調査を続ける。

再度蓬莱倶楽部の事務所に向かう成瀬。
事務の女の子の住所を突き止め、直談判することで侵入できた。

そこで成瀬は信じられないものを目にする。

久高隆一郎の保険書類と、安藤士郎の保険書類だった。

安藤士郎と娘の千絵ちゃん

お父さんに手を引かれて歩く幼児

以前パソコン教室の生徒だった安藤士郎から、十何年も前に別れた娘、千絵の顔を見てきてほしいと頼まれた成瀬。
2人が住んでいたアパートから、元嫁が働いていたスナック、名古屋のスナックと探し回り、ついに名古屋にほど近い田舎町で「TIE」というスナックを見つける。

そこで働くチーママが千絵だった。

安藤からは、前から付き合っていた男に支援してもらっていると聞いた成瀬はその姿に愕然とする。
千絵はまだ未成年のはずだった。高校に通っているはずの千絵がなぜスナックで働いているのか。

馴染みの客に聞くと、元旦那は借金を残して消えてしまい、ママ(千絵の母親)が働いていたが体調を崩し、千絵が働いているのだという。

安藤に本当のことを伝えるべきか迷う成瀬だったが、結局安藤に真実を伝える。

安藤はかなりショックを受けていた。
その後あまり連絡も取らず飲みに行くこともなくなった。

そんなある日、家に来て欲しいと連絡を受ける。
時間通りに行くと、部屋の中で安藤が首を吊って死んでいた。

部屋の中には成瀬宛の遺書があった。

千絵のことは正直ショックだった。
幸せになってくれていると思っていたのに、未成年の千絵がスナックで働いているなんて。
そこで俺は年金やシルバーセンターの給料を出来るだけ名前を明かさずに仕送りを始めた。

だが最近自分の余命が短いことを知った。
ただでさえしてやれることが少ないのに、千絵が成人になるまで仕送りも出来ない。

だからすまないが、保険金を千絵に渡してやってくれないか。

だが、安藤の目論見とは裏腹に、自殺では保険金はおりない。
安藤の死を無駄にしないために、成瀬は決断する。

「安藤士郎」を名乗ってまだ生きているように見せかける。
支払われる年金も千絵に送り続けるし、保険金を受取れる時期になったらその手続きもしようと考えていた。

だから驚いたのだった。
なぜ蓬莱倶楽部に死んだはずの安藤士郎の保険書類があるのか。

そこで成瀬は真実を見つける。

麻宮さくらという女

日傘をさす女

成瀬はさくらを呼び出した。電話の電源を切れという。

妹がいる家に連れて行くと、さくらは「成瀬将虎」という名前を聞いて目を見開く。
「また嘘をついたの?!」

さくらは成瀬のことを、「安藤士郎」だと思い込んでいた。

それは、駅のホームでさくらを助けた後、駅員からの聴取時に成瀬が使った偽名だった。
さくらはその時から「安藤士郎」として成瀬と接していた。

麻宮さくらも偽名だった。

彼女の本当の名前は、古屋節子。

蓬莱倶楽部に骨の髄までしゃぶられ、下僕のように犯罪の一端を担がされている女だった。

ここで「え?!」ってなるんですね。
さくらが古屋節子?!70歳近い?!若い女性かと思っていたのに!!!
ということは?
成瀬将虎って??何歳??

古屋節子は、蓬莱倶楽部を訴えると騒ぎ始めた久高隆一郎を社員に言われるままに車に乗せ人気のないところまで連れてきた張本人だった。
自分の行為が殺人に結びついていることを目の当たりにした節子はどこか壊れてしまった。

言われたことばかりやっていた現状から、自分から蓬莱倶楽部に話を持って行くことを思いつく。
その相手が「安藤士郎(本当は成瀬将虎)」だった。

節子は、成瀬に保険金をかけて殺害するつもりだった。
そうして蓬莱倶楽部の借金を減らしてもらおうと考えていた。
だがどこかでその殺すはずの男に好意を持っていることも実感し始め、自分でもよくわからなくなっていた。

「こんな年齢で刑務所に入りたくない。刑務所で死にたくない」という節子に、
「待っててやる。今の時代、高齢者は元気だから何歳だってやり直しがきく。」と説得する成瀬。
成瀬もまた、さくら、古屋節子のことを好きになっていた。

最大のミスリード

それは、主人公の年齢です。

最後に明らかになるのですが、成瀬将虎は70歳。
さくらも古屋節子なのでそれくらい。高校生のキヨシも実は64歳くらいなんです。
キヨシは定年退職後、また学び直したいと定時制の高校に編入している、ということでした。

ラスト一歩手前まで、成瀬はガチッとした33歳くらいのお兄さん、キヨシは純粋な高校生、さくらも20代の若い女性だと思ってずーーーーーーっと脳内で描いていたので、

このどんでん返しには本当に驚かされました。

1回読んで衝撃を受けたはずなのに、2回目全然覚えてなかった。。

ミスリードのポイント

ではなぜこんな勘違いをしてしまったのか。

巧妙なテクニックと、人間の思い込みの激しさに舌を巻きます。

  • しょっぱなから結構な性描写 → 性欲漲る若い男性かな?
  • ジムでの会話 → ジムで筋トレ?若い人かな?
  • キヨシは高校生で成瀬の後輩 → 高校生の先輩ってことは20代かな?
  • 久高隆一郎は、キヨシが気になっている久高愛子の「おじいさん」 → 孫だから10代かな?

そして、大体こういう話は若い男性が主人公だ、という暗黙の了解。

見事にやられました。
年齢なんてどこにも書いてませんでした。
そして、上記のポイントは、別に高齢男性であっても何ら問題のないことでした。

小言

1回読んだのにこの衝撃を忘れるなんて!!!
自分が信じられませんが、計算されたミスリードの美しさにそんなこと忘れちゃいますね。

ここまで自分の先入観にやられたのは、「イニシエーションラブ」以来です。

どんでん返しがなくても面白い展開の作品なので、サクッと読めちゃいます。

一度読まれた方は、最初から読み直して散りばめられた罠を見つけて行くのも楽しいですね。

ぜひご一読ください!


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