おはようございます。ついに幼稚園の春休みが始まりました。
でも前より憂鬱ではありません。
ママレベルがちょっと上がったかな??
春休みは優しく過ごせますように!
おそらく無理だけど!
本日は、日本の行く先が心配になるディストピア小説をご紹介します。
私苦手なんですよね、ディストピア。
将来が不安になるタイプで、大ベストセラーになった「サピエンス全史」も、下巻を読んで
「未来怖い…」となっていました。
すごい心配性。
なのにこの本は、
「これ日本の話じゃないよね?」
と思わずにはいられない描写がたくさん出てきます。
この「R帝国」は、現代と通ずることも多く、下手したら私も見れそうな未来でめちゃくちゃ怖いです。
怖いのにやめられない面白さがあります。
どう終わるの?!というハラハラが止まりません。
ご興味持たれましたらぜひ手にとってみてください!
『R帝国』あらすじ
近未来の島国、R帝国。
人々は人工知能搭載の携帯電話、HP(ヒューマン・フォン)の画面を常に見ながら生活している。
R帝国は、絶対的な存在である” 党 ”に支配されていた。国民は気づいていない。
「抵抗」という言葉さえも消された国に存在する謎の組織「 L 」。
おかしいけれども、決してありえないとは言い難い世界に生きる「矢崎」と「栗原」という2人の男性の生き様からみる物語の「真実」とは。
ネタバレ始まります!!!
矢崎という男
R帝国の最北のコーマ市で働く矢崎は、突然仕事中Y宗国の兵器YP-Dに襲われる。
長い6つの足のようなもの、4本の鉄の腕を持つ四角い巨大な鉄の塊が街を破壊して回る。
R帝国はB国と戦争を始めていた。
だが攻撃しているのは全く関係のないY宗国だった。
地下に逃げ惑う人々だったが、矢崎のHPは今までの検索記録から外に逃げるように計算し、誘導する。
矢崎はHPに従い、無数のミサイルが飛び交う中を走り回る。
図書館の近くで中年の男に声をかけられその地下に避難する。
Y宗国の人々はヨマ教という宗教を進行しており、顔に様々な美しい線画のタトゥーを入れている。
ヨマ教信仰者の国家を創るのが彼らの目的だった。
ただ現在彼らはその血の30%しか得ておらず、残りは隣のG宗国とさらに複数の国に分割されている。
現在Y宗国は、同じヨマ教だが宗派の違うG宗国と戦争状態にあるはずだった。
矢崎たちが避難した図書館の地下室には2人の職員と、数人避難してきた人間がいた。
外の様子を壁に写して見ていると、コーマ市民がY宗国の兵士たちに撃たれて、女性は強姦されていた。
矢崎は「殺す。あいつらを絶対殺す。許すわけにはいかない」と熱を帯びた激しい怒りに囚われる。
職員の女が外に逃げ遅れている女性が1人でいると告げる。
みんなはそれぞれ、「ここの出入りを敵に見つかったら全滅だ。ここには子供も年寄りもいる」「助けに行きたいけど、私には妻子がいる。私の帰りを待っている」「私はどうなってもいいけど、子供を守りたい」と放っておくよう促す。
矢崎はそんな言葉を聞き、気持ちが悪くなる。
最もらしい理由をつけて自分を守ることしか考えていない人々。
HPも矢崎に止めるよう言うが、矢崎は得体の知れない自棄に囚われ、自分が助けに行くと言う。
出る直前、図書館職員の男性から拳銃を受け取る。
R帝国では、5年前に大きな出来事があったと噂があった。
” 抵抗 ”という言葉と関係があるのでは、と矢崎は考えているが、この国には” 抵抗 ”という言葉は電子辞書に載っていない。誰もその意味を知らない。
「 人権 」とネットで検索すると、必ず「 人権屋 」「 人権(笑)」と関連ワードが付けられ、どれも滑稽で胡散臭いイメージが付けられていた。
「 真実 」、「 自由 」も同様に、「 真実(笑)」「 真実 青臭い 」、「 自由 自己中 」「 自由 ヒステリー 」とそのイメージを下げることで無効化されていた。
ここなんか、今の日本にも通じるところがありませんか?
ネットの書き込みは凄まじく、陰謀論なども問題になっていますが、ネットばかりを見ていると脳内を変に染められてしまいそうで怖いです。
矢崎は女性を見つけて逃げようとするが、Y宗国の兵士に見つかってしまう。女性を救おうと画策するが、兵士に銃を向けられる。もうダメだと思ったその時、兵士が崩れ落ちる。
Y宗国の女兵士が撃ち殺していた。
何が起こったか分からなかった矢崎だが、女兵士に言われるままにその場を後にする。
救おうとした女は感謝することもなく1人で行ってしまう。
女兵士がいうには、これ以上ヨマ教の冒涜を許せなかったということだった。彼らはヨマ教を滅茶苦茶に解釈しているらしい。
Y宗国とG宗国は戦争をしているが、そもそもGYという1つの国だった。
宗派など関係なく暮らしていたものをたった6人の外部から来た人間が滅茶苦茶にしたのだという。
女兵士の名はアルファといった。
矢崎とアルファは廃墟になった建物で、夜を迎えた。
アルファの過去
Y宗国はG宗国と戦争状態にあったが、その背後には様々な国がいた。それぞれの国を支援する国。
どこの国のものか分からない無人機が幼いアルファがいた国内難民キャンプ、「ロナ」を襲った。
GY国は、ヨマ教徒Y派の王による独裁政権だった。
ある日事件が起こる。両腕を無残に損なわれた少年が、舗装されていない道端で発見された。その子の話によると、30代くらいの男に、いきなりヨマ教の話をされ、「お前はG派だろう?G派の人間にはこの国にいらない」と長時間にわたり暴力を振るわれた。少年は美少年だった。
その数日後、王の親族が経営する石油関連施設で事故があった。
G派の労働者45名が焼け死んだ。駆けつけた複数の消防車は燃えている彼らより先に石油の火を消そうとしたという。
消防の職員は伝統的にY派が多かった。
不穏な空気が流れ始めた頃、GY国の田舎のある村で信じられない事件が起きた。
酔ったG派の若者たちが、Y派の一家を惨殺しその家を焼き払った。その母と娘は暴行されたという。
事件を報道したラジオでは、よく通る声で何度もこういった。
「 G派に不穏な動きがある。Y派は自宅で待機。Y派の女性があちこちで暴行されている 」
「 G派の男たちがY派の村を襲っている。Y派の男たちは自分の家族を守れ 」
気づけば至る所でY派とG派の衝突がおき、デモが発生。暴動が起き、デモ隊に発砲したGY政府が非難される。
いつの間にか様々な国が介入し始める。
6人の外国人というのは、
- 村人を煽ったラジオ局のプロデューサー
- 3人の軍人。身分を偽りGY国籍を有していなかった
- 暴動が起きた村の医師
- 少年の両腕を損なったとされる男
国がおかしくなる前、何かの利権の移動が噂された。他国から強く打診されていた新規の油田開発計画をGY国の王が渋ったという噂。
アルファは叔母と亡命する。海岸まで行けば密入国業者がいて、ボートを与えられ海を挟んだ隣国へ行けるという。多くの国が、難民の受け入れを表明していた。
が、アルファはなぜ迎えに来てくれないのか奇妙だと思った。
多額の金と引き換えに粗末なゴムボートを受け取り、海を渡る。
荒れた海で次々に人が落ちた。死にそうになりながらアルファと叔母はなんとか亡命した。
アルファは難民としてR帝国に行くことになった。
R帝国での生活は、奴隷とまでは言わなくても辛いものだった。学校ではいじめを受け、叔母も腰を悪くして働けなくなった。移民の生活保護申請は並大抵のことでは承認されなかった。
生活保護を申請しただけで、移民の面汚しだとネット上で暴言の嵐に晒された。
そしてある日、酔った移民に暴行され川に落とされて死んでしまった。
アルファはY宗国に強制送還される。
彼女が生きていくには兵士になるしかなかった。
矢崎とアルファ
アルファが倒れる。
熱が出ている様子だった。2人で廃墟に隠れていると突然大きな衝撃にみまわれる。
YPーDだった。
大きな建物に反応するはずなのに、なぜ。
絶望する矢崎の目前に、無数のR帝国空軍の戦闘機が現れる。
これで助かった。身体が熱くなる。
R帝国の戦闘機から、無数のミサイルが投下される。
コーマ市に。まだ大勢の避難民がいる場所に。
矢崎は絶望する。
矢崎の頭上からミサイルが落ちてくる。
アルファが矢崎を押し倒し助ける。
体調が悪くろくに動けない自分を置いていけというが、矢崎はアルファを背負って逃げる。
逃げ込んだ場所にはY宗国の兵士とコーマ市民と思われる男女2人の死体があった。
2人の市民は明らかに殺害されていたが、兵士は横向きに倒れていた。
不意にドアが開き、R人の男が入ってくる。
「ここが狙われているのはお前のせいか」とアルファを蹴飛ばし馬乗りになろうとする。
R人は優秀だ、GY人は殺せと攻撃してくる男に嫌気がさし、矢崎は図書館の職員から渡されていた拳銃を手に取る。
しかし逆に男に奪われてしまう。
2人のコーマ市民はこの男に殺されていた。Y宗国兵士の死体だけすでに腐敗が始まっていた。
自分も同じR人の男に殺される。
そう覚悟した時、男が発砲した。
そして男の額を撃ち抜いた。
拳銃に細工がされていた。
矢崎は考える。
この銃は図書館職員から渡された。彼らはあの女性を危険を冒して助けに行くような人物を消そうとしていた?あそこに集まった人間たちは何かに利用されるのでは?
都合のいい戦争の証言者に?
アルファから、移民時代に唯一いじめないで助けてくれた” 栗原 ”という男の話を聞く。
そんな” 栗原 ”に、女性を助けようとしていた矢崎が重なったという。
おそらくGY人にだけ効くような新種のウイルスに感染しているとアルファはいう。
自分の白髪の髪を切って矢崎に渡す。ウイルスの証拠だという。
薬で矢崎を動けなくし、重たい体を引きずって地上に上がっていくアルファ。
拾った兵器で無人戦闘機を3機潰し、その後も旧兵器の在庫処理をする。そんなアルファに向かって無人戦闘機から無数のミサイルが発射される。
アルファが死んだと、屍のようになった矢崎をHPがなんとか外に出そうとする。
矢崎は避難所に収容される。そこではテレビの取材が来ていた。
いかにY宗国が残酷なことをしてきたのかを語る避難者の後ろから、矢崎が飛び出す。
アルファの白髪を全世界に晒す。アルファはR軍に殺された!
急いでテレビ中継が止められ混乱を極める避難所から矢崎は逃げ出す。
小言
ひとまず前編はここまでにしたいと思います。
だいぶ長くなってしまいました。。
矢崎とアルファの話でした。もう辛いのなんのって。。
アルファの移民の話は、もう現実世界のことですよね。
矢崎はアルファとの出会いで変わります。
なかなかに重たい内容でしたが、人間の怖さがばしばし伝わってきます。
怖いのに読むのを止められない。。
残り半分くらい?また次の記事で書きますね!
続きはこちら(中編)↓
これで終わるの?!これぞディストピア。日本の未来…では絶対にあってほしくない。読みたくないのにどうしても読み進めてしまう『R帝国(中村文則)』(中編)あらすじ・ネタバレ有り
結末はこちら(後編)↓
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