
おはようございます、ついに最後になりました。
「三体」第三部・下巻の紹介です。
第三部にして読むのを止められなくなった超有名作品です。
展開がありすぎて、もうやめて?ってなります。
絶望に絶望を重ねた展開、ぞくぞくします。
最終巻で、「三体」なのに、それを上回る展開になってひゃーーーーってなりました。
それでは、忘れないように備忘録いきます!
ネタバレありますので、これから読む方はここまでにしてくださいね!
第三部の上巻はこちらです。
ついに完結!「三体」第三部あらすじネタバレ有。三部が一番面白い!やっと読むのやめられなくなった。(上巻)
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雲天明の物語
雲天明と程心の会談後、雲天明が語った物語の解読が限られた精鋭たちによって行われる。
智子にばれたらいけないので、実は完成させていた智子遮断室の中で。
物語は、ざっくりいうと、「物語のない国」に起こった出来事の話だった。
- 「物語のない国」の王様とお妃さまには3人の子供がいた
- 長男は、周りを獰猛な魚がいる海に囲まれた島に閉じ込められてしまい、長らく帰っていない
- 次男はだいぶ正確に難があり、虎視眈々と王位を狙っていた
- 末の王女は美しく賢いので次期国王にといわれていた
- ある日次男が絵師を城に連れてくる。その絵師は、描いたものを紙の中に閉じ込めることができた
- 王様とお妃、大臣たちを紙に閉じ込められ、王女は長男に助けを求める
- 王女は、紙に描かれても助かる不思議な傘を手に入れ、ずっと回し続ける
- 獰猛な魚のいる海は普通渡れないが、ホーアルシンゲンモスケンという地名の特別な石鹸を使うと魚が暴れず渡れた
- 長男は、巨人と言われていた。遠くから見ると山のように大きかった。しかし、近くで見ると普通の慎重だった
- 無事長男と城に戻り、次男を倒す
この不思議な物語に、地球を救うヒントがあるはずだと、専門家たちはひたすら考える。
そして難航しながらも解読した結果が以下
- 三体文明の光速船が空間曲率ドライブを使っている(石鹸の泡ですすむ舟から)
- ホーアルシンゲンモスケンはノルウェーの古代の地名でヘールゼッゲンとモスケンがある
- 光速度とブラックホールを暗示している
- 光速度を秒速16.7キロメートルにできれば、この速度に達しない宇宙船は太陽系の外に出ることができない。
- 光は太陽の重力から抜け出せなくなり、太陽系は一つのブラックホールと化す。
光速を越えることは不可能なので、宇宙の他の部分にとって、絶対に安全である、といえる。
様々なことを考える中で、人間にできることは次の3つの計画を同時に進めることだった。
- 掩体計画
- 暗黒領域計画
- 光速宇宙船計画
掩体計画
現在の科学技術でも可能。
太陽系でも巨大な木星・土星・冥王星をはさんで太陽から裏側に宇宙都市を建設する。
三体世界のように、恒星である太陽が破壊されても、その影響から惑星が守ってくれる。
地球独自のプロジェクトで、雲天明のメッセージには言及はない。
実際に取り掛かり、現実のものとなる。
木星・土星・冥王星を挟んで太陽の反対側に多くの宇宙都市を作り、わずかばかりの人間を地球に残して人類は移住した。
暗黒領域計画
太陽系を低光速ブラックホールに変えることにより、地球は太陽系から絶対に抜け出せなくなる。
宇宙に何の影響も与えられないと全宇宙に安全通知を送信できる。
技術的難度が最も高い。
他の選択肢と異なり、慣れ親しんだ地球でずっと暮らせるが、人類社会はローテク社会に戻ってしまう。
光速宇宙船プロジェクト
曲率推進を可能にする基礎はまだ確立されていないが、暗黒領域よりは難度が低い。
しかし、地球文明にいかなる安全保障を提供することはできない。
太陽系脱出にしか使えず、未知の要素が最も多い。
また、三体世界の近くで曲率推進による光速船の航跡が発見される。
これは出発点を宇宙に示してしまうので、非常に危険だと開発が禁止される。
しかし、ウェイドは程心から会社の全権限を譲り受け、程心の冬眠中光速船開発にのめりこむ。
宇宙連邦から開発を止めるように言われながらも止めずに戦おうとするウェイドに、冬眠から目覚めた程心は武器を捨てて光速船の開発を中止、すべてを宇宙連邦に渡すように言い放つ。
ウェイドは相変わらず暗い眼をしたまま、程心の指示に従い、逮捕、死刑となった。
暗黒森林攻撃
ウェイドが死に、冬眠に入っていた程心は再び目覚める。50年ほど経っていた。
暗黒森林攻撃のアラートが鳴っているのに、だれも惑星の陰に隠れようとしない。
今までの過去2回の暗黒森林攻撃同様、光粒が地球へ向かっているのではなかった。
見つかったのは、1枚の小さな紙切れだった。
この紙切れは、周囲をどこまでも二次元空間に滑落させる入り口のようなものだった。
何物もそこからは逃げられない。
逃げられるのは光速だけだった。
光速船の研究開発を止めたのは自分だ、と程心は絶望に襲われる。
執剣者のときだけでなく、今回も判断を誤った。
地球のことを想って、人類を愛していたからこその決断だったが、結果として人類絶滅への道を進ませていた。
ウェイドがあのまま光速船の開発を続けていたら、今頃は曲率推進ドライブ搭載の光速船が量産され、人類は二次元空間への滑落から逃げられていたかもしれない。
程心の心は壊れそうだった。
二次元空間に滑落すると、人間も体の細胞すべてを二次元平面で宇宙にさらけ出すことになる。
この次元を変えるという兵器!
こんなこと想像したこともありません。
物理学というのは、なんて面白いんだろう!と感動しました。
太陽系に為す術は何もない。
いくつもの宇宙都市、火星、水星、木星、地球までもが二次元平面上に滑落していく。
ここの描写が想像を絶するものなので、ぜひ本を読んでください!
未知の世界すぎて想像できませんでした。
諦めて地球で最後の時を過ごそうと思っていた程心に、連邦政府から冥王星に行って羅輯に会うよう言われ、同じく冬眠から目覚めたAAと向かう。
羅輯はまだ生きていた。すでに二百歳になっていた。
〈星環〉に乗って冥王星に向かうと、そこには地球の歴史を残すための博物館があった。
二次元空間に滑落したときに大事な地球の歴史が埋もれないように、宇宙にばらまいてほしいという。
そこにはモナリザや凄まじい情報が保存されていた。
太陽系最後の星、冥王星の滑落が始まる。
羅輯は〈星還〉に乗って脱出しろという。
自分は長く生きたので、この星とともに死ぬと。
〈星環〉でも二次元空間への滑落からは逃れられないという程心とAAに、羅輯は実は〈星還〉は曲率推進ドライブが搭載されている宇宙船だと告げる。
実はウェイドの死後も秘密裏に曲率推進の研究は進められていた。
羅輯から重大な秘密が明かされる。
曲率推進の航跡によって、空間の構造そのものが変わり、真空中の光速が低下する。
〈星還〉のエンジンの曲率を最大にすれば、航跡内の光速を、人類の宿敵だった秒速16.7キロメートルにすることも可能だという。
それは、暗黒領域を作れるということだった。
地球文明生存の道は、光速宇宙船だけが正しいルートだった。
雲天明はこのルートを教えてくれていたのに、程心がその道を塞いだ。
羅輯は冥王星とともに2次元空間に滑落していった。
そして〈星還〉は、雲天明が程心に送った星に向かって、光速で航行を始めた。
雲天明が送ってくれた星
程心とAAは、雲天明が送ってくれたDX3906に到着した。
そこにはなんと、一人の人間がいた。
それは、関一帆、〈万有引力〉の民間研究員だった。
ここで?!
上で出てきた関一帆?!
とわたくし大興奮でございました。
何日かその星で3人で過ごしていたところ、アラームがなる。
5機からなる正体不明の飛行隊編隊が、惑星に着陸し、すぐに離陸してあっという間に姿を消したという。
関一帆と程心は様子を見に行く。
関一帆によると、宇宙では戦争が絶えず、物理法則や数学基礎理論さえ兵器になっているという。
太陽系を攻撃したような低次元空間への滑落もその一つで、自分たちがまきこまれないように、攻撃者は攻撃前にみずからを二次元生命に作り替えることすらやるという。
次元攻撃の結果、宇宙の二次元空間の割合が増して三次元空間を圧倒すると、最後は三次元空間が完全に消えてなくなり、宇宙は二次元になる。
宇宙では、今から百億年以上も昔のエデンの園のような美しい宇宙を取り戻そうという動きもあるらしい。
二人が惑星につくと、そこには死の線といわれる惑星上から宇宙へまっすぐ伸びる5本の黒い線が残されていた。
これは曲率推進の航跡だった。無重力のブラックホールだった。
死の線が広がって星系を飲み込む前に逃げるため、AAの待つ恒星に戻っていると、AAから連絡が入る。
雲天明が星以上にすごいプレゼントを持ってきてくれているという。
もうすぐ会える、そのとき、二人の乗った宇宙船を異変が襲う。
真っ暗闇になった。
二人は時間真空を体験していた。そのあいだには時間自体が存在していなかった。
死の線があることを知らずにきた雲天明の宇宙船によって死の線が乱れ、航跡が星系全体に広がり、二人はその中に囚われてしまったらしい。
その中では低光速で、今まで通りでのシステムは使えなかった。
光速に持っていくには低光速で時間がかかり、酸素が足りなくなるため、二人は短時間冬眠状態に入ることにする。
16日後目覚め、光速を脱出すると、DX3906星系はすでに低光速ブラックホールと化し、宇宙のほかの部分から完全に切り離されていた。
大陸に着陸してみると、以前とは様子が変わっていた。
AAや雲天明の痕跡がどこにもなかった。
いつの時代か、放射年代測定をしてみると、地球年で18903729年と出た。
二人は光速で時空を飛び越えたため、1890万年後に着陸していた。
宇宙の誕生から170億年が過ぎていた。
程心はAAと雲天明が何かを残していないか探し回る。
冥王星での出来事から、記録を残すには石に文字を刻むことが最も効果的であることを知っているAAだから、何かしら残しているはずだと確信していた。
二人が乗っていた宇宙船AIの分析システムによると、地下約30メートルにある岩盤に文字が刻まれていた。
それは、大きな一枚の堆積岩に刻まれたものだったが、一千万年の間に起きた地殻変動により、沈降し沈んだらしい。
AAと雲天明は幸福に過ごしたという。
ふと二人は光の線で囲まれた長方形が空き地の上に浮かんでいるのを見つける。
それは雲天明からの贈り物だった。
その長方形はドアだった。
雲天明からのプレゼント
その先は、いわゆる田園風景の広がる小さな世界だった。
まっすぐ進むとまた最初にいた地点に戻る。
それは、雲天明がプレゼントしてくれた小さな宇宙だった。
そしてそこには智子がいた。
智子によると、そこは宇宙#647という空間らしい。
雲天明は、二人に大宇宙の週末の時、この小宇宙に身を隠して重力崩壊(ビッグランチ)をやり過ごし、次のビッグバンのあと、新たに生まれる大宇宙の中でそのエデン時代を体験してほしいと送ったのだった。
小宇宙と大宇宙では時間船が違うので、ここの時間で約10年後に、大宇宙は重力崩壊を起こして特異点になると推定されていた。
二人はとこで畑を耕しながら三体世界の言語を学び、資料で三体世界の技術を学んでいた。
ある日関一帆が考え込んでいた。
彼によると、宇宙の質量は、きわめて正確かつ完璧に設計されていて、宇宙の総質量はビッグランチを引き起こすのにちょうどぴったりの数値だった。
もし総質量が現在よりも少しでも小さくなれば、宇宙は閉じるのではなく開くことになり、無限に膨張し続ける。
しかし、質量は失われ続けている。三体人だけでも数百の小宇宙を創造しており、他の文明もおそらく作っている。
ある日超膜を通じて大宇宙からメッセージを受信する。
それは、「回帰運動声明」で、宇宙の総質量の減少が臨界地を越えたため、閉じた宇宙は開いた宇宙へと変わり、永遠の膨張のなかでゆっくりと死んでいく。
そうなれば、すべての生命と記憶も死ぬことになる。
奪った質量を返還し、記憶だけを新宇宙に送ってくれというものだった。
智子は反対したが、責任を果たしたいと二人は大宇宙へ戻る決断をする。
二人が戻る大宇宙は、すでに百億年が経過していた。
智子も入れた3人で、小宇宙の質量を大宇宙へ返した後、宇宙船に乗って大宇宙へのドアをくぐっていく。
小言
どうですか!!!!!!
なんという展開でしょうか!!!!
そもそも第二部が終わった時点で「え?ここで終わらないの?」と思ったのに、第三部に入ってからの怒涛の展開!
もう無理やろ!というところから何回持ち直したことか!!
面白すぎる第三部でした…
羅輯と程心の関係も胸に来るものがあり、これは一部、二部と「そんなに面白いかな?」と読み進めていた甲斐がありました。
次元の話とかちょっと難しいですが、物理学ってそんなことを考えつけるんだなと感動しました。
個人的には、関一帆?!?!?!というところで大興奮した次第であります。
これは本当にSF小説の金字塔だなと納得の一冊です。
ぜひ読んでみてください!
長いし、最初は「難しい…展開ゆっくりだな」となるかもしれませんが、めちゃくちゃ面白くなります!
記事自体も長くなりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございました!
「三体」物語の始まり、第一部の紹介はこちらです。
【前評判ほどではなかった?!】「三体」第一部のあらすじ紹介!(※ネタバレあります)中国SF小説の金字塔はどんな話?
「三体」第二部の紹介はこちらです。
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