おはようございます。
早朝からチョコレート爆食いです。
このままだと死因がチョコレートになりそう、みかんです。
それでは、『 R帝国 』後半戦参りたいと思います!
栗原という男
栗原は、R帝国の野党事実上のトップ 片岡の秘書だった。いずれは片岡の地盤を継ぐと言われいた。
R帝国は、” 党 ”が絶対的権限を持っており、約〇〇%を党が占めていた。
民主主義の体を示したい” 党 ”が無理やり残しているごくわずかな野党だ。
栗原は片岡の指示である女性、サキと出会う。
サキは、不思議な羽蟻の写真を見せる。この蟻は、コーマ市だけに生息するという。そして殺虫剤は効かない。本来この蟻は存在しないものだという。
その時突如、Y宗国の軍がコーマ市を襲来したというニュースが入ってくる。
サキは自分たちを” L ”だと名乗った。
R帝国にかつて存在した地下組織の名前。R国の転覆を企み崩壊したはずだった。
片岡に羽蟻の写真を渡した栗原が家に帰ると、テレビではY宗国によるコーマ市襲撃のニュースが流れた。首相の言葉、そしてY宗国の兵士が原発を占拠したという情報でネットは大荒れだった。
汚い言葉の渦が栗原を襲う。
気がつくと栗原の目の前に若い男が立っていた。猫のロボットは倒れている。
「加賀さんがお会いになる」という。
加賀は” 党 ”の中枢の1人だった。滅多に表には出てこないので栗原は顔も知らない。
男に加賀の洋館に連れていかれる。そこでは全ての電子機器が使えなくなる。
「君は日本という国を知っているか?」
加賀は栗原に問う。
なんとここで” 日本 ”の登場です。
この世界ではネット上に突如『アウシュヴィッツ』や『ルワンダ大虐殺』という小説が複数出現したことがあった。架空の国や土地の話として話題になったがいずれも作者は不明。
『日本』という国に関する小説に繰り返し出てくる「第二次世界大戦」。
その中でも「沖縄戦」が世界史で見ても非常に稀だと加賀は話し始める。
通常、自国の領土に敵軍が迫ると、絶対阻止する。
上陸され押されれば、軍は撤退か幸福、その地域は占領される。
だが日本軍は沖縄に上陸しようとするアメリカ連合軍を徹底的には阻止しなかった。
島内で叩こうとしていた。
世界史上ココだけで発せられた凄まじい考え
” 軍官民共生供死 ”
命を捧げることを全国民に強いた世界で唯一の国かもしれない。
『一億玉砕』
という凄まじい言葉も出た。
国民を守るはずの戦争であるはずなのに、「勝つ」ことが目的になった戦争だった。
ここは本当に胸が苦しくなりました。
私たちの国の歴史です。
国民を守るためではなく、勝つための戦争。
もう2度とこんなことが起こらないことを心から願います。
加賀は言う。
「我々” 党 ”は国家の性質としては日本と同じ。目的を達成するためなら国民が何人死のうが仕方ないと思っている。
なぜ栗原にこんな話をするのか。
加賀は栗原に国家党の一員になれと言う。
加賀の話
世界にはテロリストがいるが、大抵の場合は職業でテロリストをやっている。
正確に言えば、メンバーたちはそこが掲げる偽りの主義や信条を信じているが、幹部から上は職業でやっている。
テロは世界的に需要がある。
D国がE国の内政を混乱させたい時、戦争に参加したい時、宗教である宗派を対立させたい時。
今回のY宗国の襲撃も事前に知っていた。
Y宗国とG宗国は戦争状態にある。
G宗国についているある大国が、R帝国が共に仲間として参戦し、Y宗国を攻撃することを強く望んでいる。
そのある国が、Y宗国のテログループの1つにR帝国を攻めさせる計画を立てていた。
そうすればその攻撃に怒ってG宗国につき、Y宗国を攻撃できる。
なぜG宗国とY宗国に固執するのか。
資源。石油だった。
その地に埋まる石油を先進国で奪い合おうとしている。
その後、コーマ市民を犠牲にしてテロリストを叩けと大騒ぎになっているネットを見せられて、人間の身勝手さに呆然とする栗原に、加賀は薬を渡す。
それは「自分を忘れられる薬」だった。
脱出
栗原は自分では薬を飲まなかった。
そのため加賀によって命じられた男から無理やり飲まされる。
しかし、その男は「 L 」と名乗り、睡眠薬だという錠剤を栗原の口に押し込んだ。
藤岡と名乗るその男に連れられて、栗原は加賀の別荘を脱出する。
藤岡は片岡先生に会えという。そして片岡は、栗原がこうなったことを詫び、何かあったら自分を差し出せという。
そこに「 L 」から着信が入る。
サキという女性からで、TVの生中継でコーマ市襲撃はR帝国の仕業だと発言した矢崎という男と連絡が取れる。話を聞いてくれという。
サキは矢崎に、襲撃がR帝国の仕業であることを示す証拠である矢崎のHPの中身をAIごと移し返すよう提案する。
” 党 ”に見つかればHPを丸々すり替えられる可能性が高い。
信用していい話なのか決めかねる矢崎に、栗原が発言する。
すると、「栗原」という名前に矢崎が反応し、アルファのことを話す。
アルファが話していた学生時代に助けてくれた栗原だった。
栗原もアルファのことを覚えていた。
矢崎は栗原を信じることにし、HPの中身を丸々転送する。
数日後、矢崎の身柄は拘束された。
サキの話
サキの父親はカメラマンだった。
世界各地の戦地で写真を撮り、海外で賞を取っていた。
その頃すでに報道の自由が無くなっていたR帝国では、父親の写真はごく小数部しか発行されない雑誌などにしか載せてもらえなかった。
しかし、賞を取ったことでR帝国から目をつけられることになる。
謂れのない誹謗中傷をされても写真を撮り続ける父。
「萎縮は伝播する。私が萎縮するわけにはいかない」とやめなかった。
母親は内科医だった。
世界中を飛び回り、戦争や貧しい国で人々を救っていた。
あるとき、新しく発生した感染病が流行している国へ母が向かった。
そして母は感染し、亡くなった。
帰ってきた母の遺体と対面する時、製薬会社の役員だった加賀もその場にいた。
加賀はまだ少女だったサキに言う。
「新しい感染症が流行ると国が製薬会社に補助金を出す。以前発生した感染症が思いのほか早く下火となった。特効薬を共同で作っていた自分の会社と海外の製薬会社は、自然発生のウイルスを変異させ、T大陸にばらまいた。そうすることで、莫大な補助金を継続的に得ることができる」
サキはしばらく話せなくなったが、次第に『 L 』に傾倒していく。
この話を初めてした、と泣きながら栗原に話すサキ。
栗原もサキを受け止める。
お互いに何かが芽生えそうな思いを感じていた。
その時、電源を切っていたはずの栗原のHPのAIが急に話し始める・
「僕を捨てて逃げてくれ」
HPの話
「君たちの情報をすべて” 党 ”に送ってしまった」
栗原のHPが涙声でいう。
加賀の別荘に監禁されていた時に、電波で妙なプログラムを入れられてしまっていた。
正義ぶって偉そうなことをいう彼女(サキ)をいじめて泣かしてやりたくなった。
そして君もなんていい男なんだろうって。
栗原のHPは、名前をつけてもらっていないことが不満だった。
性愛の道具をつけてもらっていないことが不満だった。
ずっと人間みたいにそういう感覚を体験したいと思っていた。
栗原と急に親密になるサキに嫉妬した。
裏切ってやろうと思って、” 党 ”にすべてを送った。
すみません。。
やはり簡潔に書けなかったので、3つに分けたいと思います!
もうね、そこが裏切るんかい!!!っていうとこです。
でもその「裏切る」という行為に至った背景も細かく描かれているので、妙に納得してしまうんですね。
架空の話なのに。
緻密すぎる世界観がそうさせます。
物語は佳境です。
次回、結末編でお会いしましょう!
続きはこちらから↓
これで終わるの?!これぞディストピア。日本の未来…では絶対にあってほしくない。読みたくないのにどうしても読み進めてしまう『R帝国(中村文則)』(後編)あらすじ・ネタバレ有り
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