「ちょっとおとなしくしておいてほしいからスマホでyoutubeを見せる」
「自分のやりたいことに集中したいからスマホでゲームさせておく」
こんなことありませんか??
私も、エンドレス「ママ見てー!」から解放されたいときに、ついついタブレットを渡してしまいます。
折り紙でもブロックでもお絵かきでも何をしていても絶対に「ママ見てー!」と言うんですが、タブレットやスマホを渡しているときは一切こちらを見ません。
こちらが声をかけても聞こえていません。
皆さんも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
スマホの力凄いな、と。
こんな風に感じたことがある人にはものすごく恐ろしい本を読んでしまいました。
スマホ脳(アンデシュ・ハンセン)
著者はスウェーデンの精神科医です。
なんといっても顔がいい。
こんな精神科の先生おるんかとスウェーデン行きたくなりました。
ただね、ご指摘は本当に恐怖。
現在はこういった本がバカ売れして、スウェーデンでは超有名人だそうです。
喋っているとこみたい。
この本は、一貫して人間の脳は現代のデジタル社会に適応していない、という話です。
理由も非常に分かりやすい。
確かに!なるほど!と首を縦に振りまくっていました。
サクッと読めちゃうので気になる方はぜひ読んでみてください。
スウェーデンの大人の9人に1人以上が抗うつ薬を服用している
物質的には恵まれているのに不安になる人が増えているのはなぜか。
「睡眠」・「運動」・「他者との関わり」が精神的な不調から身を守る重要な3つの要素である。
しかし年々睡眠時間は減り、身体を動かす機会も減り、コロナもあって人との距離が開いている。
特に若い人は以前よりも孤独を感じている。
だから生活は快適になったのに、精神状態が悪くなる人が増えている。
著者が精神科として患者さんを診るうちに気づいた若年の不眠や抗うつ剤の服用が増えているのはなぜか、疑問に思ったところから始まります。
ストレスには役目がある
ストレスのシステムは、HPA系と呼ばれる。
視床下部から下垂体という脳の下部にある分泌器に信号が送られる。すると下垂体は、腎臓の上にある副腎へコルチゾールというホルモンを分泌するように命令を送る。
このコルチゾールが最も重要なストレスホルモンである。
コルチゾールは心臓の拍動を強く速くする。
そうすることで、危険に素早く反応して攻撃もしくは闘争するため。
「闘争か逃走か」
これらはすべて生存のためである。
今よりも格段に危険の多い世界で生き延びるために発達したストレスのシステムが、現在の心理社会的な種類のストレスを受けたときに同じように作動してしまっている。
ストレスは他の動物にも備わっているが、ストレスに似た不安は人間特有のものである。
不安は、ストレスのシステムを事前に作動させた結果であり、人間だけが未来を予測する能力を持つことに由来する。
私はよく、起こってもいないことを色々考えすぎて不安になって落ち込むタイプなのですが(やめたい)、こうやって仕組みを知ると、不安を感じている自分を客観視出来て、若干不安が和らぎました。
あ、私不安を感じている。これは人間しかできない。
大昔の祖先が生き残るために進化したストレスシステムが発動している・・・!
ほら、なんか不安もちょっとかわいく思えてきませんか?私だけ?
脳は一万年進化していない
地球上に人間が現れてから99.9%の時間を、人間は狩猟と最終をして暮らしてきた。
ここ150年ほどの環境変化があまりにも大きすぎて、脳はまだついてこれていない。
脳はまだサバンナで暮らしている。
アラスカの黒いクマが突然変異がきっかけで白いクマにすべて変わるまで、1万年~10万年かかっている。
サバンナでは高カロリーのものを見つけたときに全部食べるように脳がドーパミンを大量に出す。
昔の私たちは、体型を気にして食べるのを我慢していたら死ぬ確率が高かったからだ。
今では飢餓で亡くなる人よりも、過食で糖尿病などになり亡くなる人の方が多い。
これも、身体が現代の人間に対応しきれていないからだ。
このあたりの話は、以前紹介した「スタンフォードの自分を変える教室」にも出てきます。
「スタンフォードの自分を変える教室」甘いものをやめられない私は何をしたら良い?(1)
生き延びるための戦略は、精神的な部分にも残っている。
サバンナではいつだれが襲ってくるか分からない。
常に危険を感じ、いつでも動けるように計画を立てていたものが生き残っていた。
多くの人が怪我で死んだり、他の人間や動物に殺されることが多かった時代だったから。
常に周囲を確認し、異常なほど活発ですぐに他のことに気を取られる、かつてはそんな性格のおかげで危険を速やかに避けることが出来た。
今だと、教室でじっと座っているのが困難な子だと思われ、ADHDの診断が下る。
当時と今の世界の根本的な違い
- 当時人口の半数は10歳を迎えずに亡くなった。今では10歳前に亡くなるのはほんの数%。
- 当時の平均寿命は30歳足らず。今では平均寿命が女性は75歳、男性が70歳。
- 当時の一般的な死因は、飢餓・干ばつ・伝染病・出血多量・殺されること。今では心臓血管疾患とがん。
- 当時の人口の10~15%は他の人間に殺された。今では他の人間に起因する死は死亡者全体の1%。
このように、今の脳はまだ上記のように人間が長らく過ごしてきた環境に適応しており、現代の食べものを探す必要も、さほど周囲の危険を常に感じる必要もない環境には合っていない。
スマホは最新のドラッグである
時間の無駄だとわかっていても、私たちはスマホを手放せない。
テレビを見ていても、ご飯を食べていても、手が勝手にスマホに向かってしまう。
これは何もすべて自分たちの意志の弱さが原因ではない。
フェイスブックやインスタグラムなどを運営する企業が、私たちの脳をハッキングしているのだ。
彼らの目的は、私達からできるだけたくさんの時間を奪うこと。
広告を売るために。
そして私たちは別のことをする時間がますます減っていく。
私たちは、1日に2600回以上スマホを触り、平均して10分に1回スマホを手に取っているそうです。
やっべえな。
通知が届くとスマホをチェックしたくなる。
これは、ドーパミン量が増えているから。
脳は新しい情報を欲しがっている、その裏にあるのが報酬物質と呼ばれるドーパミンである。
大昔の人間も生き残るためには様々な情報が必要だったし、新しいもっと多くの食料がある環境を求めて移動するようにドーパミンに突き動かされてきた。
新しいものが好きな脳に現在一番の刺激を運んでくるのがスマホだ。
ドーパミンは快楽をくれるわけではなく、快楽が得られるかもしれないという期待をもたらす。
人間は確実に得られるものよりも、不確かな「もらえるかもしれない」の方を好む。
これに著者は、「ドーパミンの最重要課題は、人間に行動する動機を与えることだから」と答えている。
こういった「かもしれない」に期待して行動を起こしてしまう人間をターゲットにしているのがカジノなどのギャンブルであり、「大事かもしれない」とチェックさせるスマホである。
とくに利用しているのがSNSである。
何か大事な更新がないか、自分の投稿に「いいね」がついていないか確かめたい!という欲求を起こさせる。
スティーブ・ジョブズは子供にスクリーンタイムを厳しく制限しているし、ビル・ゲイツは子供が14さいになるまでスマホは持たせなかったという。
それは、彼らIT企業のトップの多くが、スマホの恐ろしさをすでに知っていたからである。
スマホがポケットにあるだけで成績が下がる
スマホには人間の注意を引き付けるものすごい威力がある。
大学生500人の記憶力と集中力を調査すると、スマホを教室の外に置いた学生の方が、サイレントモードにしてポケットに入れていた学生よりもよい結果がでた。
スマホの存在が少しでもあれば認知能力の容量が減る、という実験もある。
脳はポケットにあるスマホを「無視すること」に知能の処理能力を使ってしまうらしい。
ドーパミンは、何に集中すべきかを脳に語りかけるので、一日に何百回とドーパミンを分泌させるスマホが気になってしょうがないのは当然のことである。
スマホの存在で、気を散らされることにますます脆弱になっている。
人々は、スマホがないときでも集中することが難しくなってきている。
これは実感があります。
以前は読書の時は没頭出来ていたけれど、今では合間についついスマホを触ってしまうようになってしまいました。。
脳が乗っ取られている;;
ちなみに私がついつい見てしまうのは、赤ちゃんの動画です。
ひと様の赤ちゃんの動画を観て癒されてたら軽く2時間くらいたってました。
病気かな?
他にもこんな実験が行われている。
- 大学の講義中パソコンを使用できる人はそうでない人よりも講義内容を覚えていなかった。
- ノートをとるのは、パソコンよりも紙とペンを使う方が趣旨をよく理解できていた。
- スマホを持って講演を聞いたものは、持っていない人に比べて集中できず理解度が下がっていた。
脳が長期記憶を作るには、「なにが大切か」に集中することが必要である。
しかし、絶えず新しい情報が顔を出せば、脳は特定の情報に集中する時間が無くなる上に、限られた作業記憶がいっぱいになってしまう。
新しい長期記憶を作れず、読んだ内容を覚えられない。
デジタルな情報は効率よく多くの情報を取り入れられるように感じるが、それは表面的なもので、しっかり頭に入るわけではない。
それでも続けてしまうのは、そうすることが好きだから。
ドーパミンが放出されるからである。
グーグル効果
グーグル効果とかデジタル性健忘とは、別の場所に保存されているから脳が自分では覚えようとしない現象である。
脳は効率を重視するので、情報そのものよりも、情報がどこにあるのかを優先して記憶する。
写真も同じような現象を引き起こすことがある。
写真に撮ったものは「写真で見られるんだから」と脳が記憶に残そうとしない。
これも!!!まさに!!!
ググればいい。のが染みついているせいで、調べても調べてもまた忘れてググる。
全然自分の身になっていない、というのは日々実感します。
わたし全然覚えてないな、とへこんでいたのですが、脳がそれを選択していたんだな!と。
脳すごいな。しかし厄介だな。
もう蝉の雄と雌の見分け方調べたくないよ。。
スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響
なんとなく寝る前にスクリーンを見ていたら眠れなくなるって知っていますよね。
ブルーライトカットの眼鏡も売れているし、なんかよくないんだなぁということは広まっています。
睡眠の重要性と寝つき
スマホと不安やうつとの関係を見た研究
- 熱心にスマホを使う人ほどストレスの問題を抱えており、うつ症状のケースも多かった。
- 不安とスマホの使用過多にも相関性が見られた。
脳の掃除、健康の維持、そして情緒の安定や記憶と学習のために睡眠は非常に大事だが、年々人間の睡眠時間は減る一途をたどっている。
大昔、眠るときに近く情報を完全にオフにするのが危険だった狩猟採集民だった祖先は、動物に襲われたり誰かに殺されたりしないように、安全な状態を確保することが重要だった。
ベッドに入る前にストレスを受けると、寝つきが悪くなるのはそのせいだ。
ブルーライトの闇
体内リズムで寝る時間を知らせるのはメラトニンというホルモンの働きである。
このメラトニンの分泌量を抑えるのが、ブルーライト(パソコンやスマホのスクリーン画面に多く含まれる)である。
なぜブルーライトに人間の目が反応するのか。
それは、私たちの祖先にとって、晴れ渡った空から降ってくるものだったからだ。
昼間活発に活動するためのものだったので、眠りにつく前にスマホなどを使うと、体内時計を2~3時間巻き戻し、眠れなくなってしまうのだ。
スマホを寝室に置いている子供は、そうでない子供に比べて睡眠時間が1時間短かったという調査もある。
これは、電子書籍も同様だった。
紙の書籍を読んだ人よりも、眠りに落ちるまでに時間が長くかかった。
また、電子書籍はスマホを連想させる。
新しい情報や脳の報酬系の活性化に非常に強く結びついているので、興奮が収まらなくなるのだ。
実は私も目覚まし代わりにスマホを枕元に置いていたのですが、最近2時ごろ目が覚めて、時間を確認ついでにスマホを触りだしてしまい、どうでもいい情報ばっかり見て眠れなくなる、ということが続いていました。
ものすごくストレスだったんですが、この本を読んで寝室にスマホを持ち込むのをやめたら、4時半までぐっすり眠ることが出来るようになったんです!
「眠れない」というのはものすごいストレスだし、脳にも悪影響なので、悩んでいる方がいれば睡眠薬の前に、スマホを離す、ということをやってみてください!
小言
ということで、スマホを使い続けることが非常に怖くなる1冊でした。
ただ、全く使わないなんて現代では不可能に近いですよね。
著者も、人間の脳にテクノロジーを適応させる、と書いていました。
「スマホに使われること」がないように自分もスマホをカバンの中にしまい、必要以上に触らないようにしています。
寝室にもっていかないのは、睡眠にとって本当に有効だと実感しました!
同じ本から、SNSの闇に関してもご紹介しているので、SNS疲れをちょっとでも実感した人はぜひ読んでみてください♪
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