日本を代表するミステリー作家による極上の短編集、 『満願(米澤穂信)』ってどんな話?あらすじ、ネタバレあります。

ミステリー
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満願(米澤穂信)
満願(米澤穂信)


2014年のこのミステリーがすごいにも選ばれた珠玉の短編集です。


短編でさくさく読めるけれど、一編一編の風景描写、心理描写が卓越で読了感はしっかりあります。

若干の薄暗さはあるものの、何気なく読んだ部分が伏線になっており伏線回収感があってすっきり読めました。

1つのドラマを観ているかのような作品たち。
ちなみに、米澤穂信さんは、「よねざわほのぶ」さんと読みます。

ネタバレですよ!!

読んだけど、どんな話だったっけ?って知りたい人どうぞ!

これから読みたい人は読まないでください!

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夜警


交番勤務の後輩が殉職した。
警官には向かない奴だった。
その後輩と事件当日を思い返す中で何か違和感を覚える。

110番で近くの民家から「旦那に殺される」と通報が入る。
部下二人を連れて現場に乗り込む。
男は刃物を振り回していた。
殉職した後輩は5発発砲。

男は死亡も、最後に後輩に切り掛かり殉職となる。
弾1発は外れて庭に落ちていた。

男は銃が好きだった。
若い頃は海外の射撃場にも通っていた。


事件の数日前、交番の前で工事中の作業員のヘルメットに何かが当たり軽傷を負う。
交番には後輩が一人残っていた。

軽石が飛んできたと当時は言っていたが、本当に石だったのか。

近くの木には銃痕のような傷がついていた。


そこで真相に辿り着く。


銃が好きだった後輩は一人留守の間に銃を触っていて発砲してしまう。

幸い工事中で音も周りに聞こえず大きな問題にならなかったが、銃弾が1つ減っていることがバレると大問題になる。
小心者の後輩は、バレるのを恐れて銃を発砲できる環境を整える。

それがあの事件だった。
後輩の思惑は1つだけ外れる。

犯人の刃が自身に届いたこと。

死人宿


突然失踪した恋人を探して訪れたのは死人宿と言われる自殺志願者の間で有名な山奥の温泉宿。

恋人から頼まれ、置き忘れられた遺書がどの客のものかを探っていく。

無事遺書の持ち主を見つけ出し自殺を防ぐが、別の客が自殺してしまう。

柘榴


頼りない父親に変わり、二人の娘を女手一つで育ててきたさおりは娘たちのために旦那と離婚することに決める。

旦那も親権を望んでいたが、生活能力や経済力の差からも母親であるさおりが当然得るだろうと裁判を迎える。

結果、親権は父親に。


理由は娘たちの希望と、さおりによる虐待の疑惑だった。

さおりの身に覚えのない虐待の跡は、駄目な父親を放っておけない娘たちの自作自演だった。

長女を突き動かしたのは美しい母親への嫉妬。
男として父親を独占するための娘の計画。

万灯


バングラデシュで天然ガスを採掘するための障壁である小さな村で、井桁商事の商社マン伊丹は計画の妨げになっていたマタドール、アラムを同業他社の森下と共謀して轢き殺す。

天然ガスの採掘計画は進むようになったが、森下が急遽退職し日本に帰国したとの情報を得る。

殺人をバラされることを恐れて伊丹はすぐに森下を追って日本へ。

日本で森下を殺害するが、その際森下は嘔吐してしまう。

死体を埋めた後、ニュースではコレラ感染者が国内で発生したと大ニュースになっていた。
感染者と思われる男性が行方不明になっているという。

そこで伊丹はその感染者が森下だったと気付く。
自身も吐き気を覚えながら、自分がバングラデシュから日本に引いた天然ガスが東京の煌びやかな街をより眩いものにする未来を想像する。

関守


平凡なライターが都市伝説をネタに小田原の先、桂谷峠にある小さなドライブインを取材で訪れる。

そこは、ここ数年で4件の事故で5人が亡くなっているカーブの近くにあった。


店には小さなばあさんが一人。
コーヒーを飲みながら、亡くなった人たちの話を聞いていく。

最初はただの事故に思えたが、ばあさんの話は思いも寄らない方向へと進む。

一人目の被害者は、ばあさんの娘の男だった。
男に子供を奪われそうになったばあさんの娘は、近くにあった石像で男を撲殺してしまう。
その際割れてしまった石像を巡って、次々と殺人を繰り返す。


石像を地域の町おこしに活用しようとした公務員、ゼミの研究で訪れた大学生、機嫌が悪く石像を蹴飛ばし、接着剤でくっつけてあることに気づいた無職の男、とその連れの女。


ドライブインで飲み物に薬を入れ、事故を引き起こす。
そして次は、この事件のことを嗅ぎ回っているライター。。

ばあさんは以前一連の事故を調べていた先輩を俺と勘違いしている。
そう思った時にはすでに薬を盛られ、意識が消えゆくところだった。

満願


学生の頃法学部を目指して勉強していた私は畳屋の愛想の悪い主人と気立ての良い奥さんの家に下宿させてもらう。
その後無事に弁護士になり最初の弁護が奥さんだった。


畳屋は借金をしており、被害者は金貸し屋であった。


一審の間は裁判に前向きにだった奥さんは、旦那が病気で亡くなると争うのをやめ、服役するという。

旦那が亡くなった保険金で被害者の会社には借金を返しきり、結局奥さんがなぜ金貸し屋を殺害したのか分からなかった。


現場には殺害現場に背を向けただるま、奥さんが大事にしていた先祖から譲り受けたという掛け軸が残されていた。


隠された殺害理由は掛け軸だった。借金のかたに奪われるのを恐れて証拠品として警察に押収、出所後受け取るつもりだったのではないか。

出所後私の事務所を訪れるはずの彼女は現れない。

小言

初めて米澤先生の本を読みましたが、引き込まれました。

何か暗い気持ちになりそう。。怖いんじゃ…と2年くらい敬遠してたのですが、すっきりはしなくても
読み応えのある作品たちでした。

個人的には、「夜警」「万灯」の結末の予想外さが好きでした。
「万灯」は映画化して欲しいくらい!
と思ったら、2018年にNHKミステリースペシャルでドラマ化されてました!!
(2019年には再放送も)

「万灯」西島秀俊
「夜警」安田顕
「満願」高良健吾
何で知らなかったの私!!!!大好きな西島さんが大好きな万灯やってたなんて!!!
これはNHKオンデマンドですかね…

ぜひ読んでみてください♪

他にも読後感が重たい本を紹介しています。

「太陽の坐る場所」(辻村深月)で描かれる人間の浅ましく醜い、けれども誰しもが持っている感情と向き合ってみる。

「鍵のない夢を見る」(辻村深月)ざっくり紹介。読むとすーっと背中が寒くなる短編集。

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