伏線回収がすごい「スロウハイツの神様」狩野の正体を考察します。

読書録
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スロウハイツの神様



こんにちは、冬休みが終わり、ついに3学期が始まりましたね!

3学期なんてあっという間に終わっちゃうんだろうな~。
幼稚園、小学校の最年少さんからお兄さんお姉さんになるの、ちょっと寂しいな。。


本日は、前回ご紹介した辻村深月先生の「スロウハイツの神様」の登場人物、狩野について考察したいと思います。
最後の伏線回収で涙。「スロウハイツの神様」(辻村深月)あらすじ紹介ネタバレ有


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狩野とは?


環がオーナーのスロウハイツの住人であり、本の中で語り部になりやすい(狩野目線で話が進んでいく)児童漫画家志望の青年です。

狩野壮太。

癖がなく、俯瞰的にスロウハイツの住人を見ることが出来てそうな感じがします。
他の住人とも平等に仲良し、という印象です。

低年齢向けの児童漫画雑誌に応募を続けていますが、中々成果につながらない様子。

狩野の漫画には毒がなく、一貫して綺麗で優しい部分だけという点がネックになっているようですが、
狩野はその部分は絶対に曲げたくないところのようです。

環にもボロクソに言われますが、なんのその。

自分のやりたいことを愚直に続けている様子です。


幹永舞がスロウハイツにいる?



コーキとの会話の中で、狩野は幼少期にひどいいじめに遭っていたことを告白します。

自分は環のように暗い過去をエネルギーにして作品にすることはない、そこに怒りの感情はもう持てないから、明るく優しい世界を児童漫画で描きたいのだと。

しかし、引っ張ってこようとすれば、いつでも引っ張ってこれる。

その暗いエネルギーを。

「実はひどいことも出来る」という発言も以前していました(下巻)




そこで環からもたらされる、『ブラン』で連載中の『ダークウェル』の原作原稿。

コーキの『レディ・マディ』を超える勢いで『ブラン』を共に支える大人気漫画。
感情を排除した冷酷無比なパズルゲームで、大人気サスペンスの脚本形式の原稿でした。

『ダークウェル』の原作者、幹永舞が執筆して作画の夜真下さんのところに引き渡す直前の原稿のようでした。
(夜真下さんは以前コーキが編集者と共に出たパーティーに出席しており面識がある)

環がたまたま受け取ったもので、雨に濡れたせいで受取人が分からなかったために開封して中身を確認したのだといいます。


その時はスロウハイツの誰が幹永舞か、結局名乗り出る人がおらず分からないままでした。

一部では「幹永舞=チヨダ・コーキ説」もあるのでコーキにも尋ねるが彼は否定します。


しかしそれからしばらく経ったある日、急にコーキが「幹永舞の正体は自分だった」と告白します。


なぜあの時言わなかったのか?

なぜ違うペンネームで書いているのか?



全然別の人間が書いているように見せたほうが、『ブラン』が雑誌として安定して見えるからと黒木に勧められたということでした。

もう少しでダークウェルが最終回を迎えるので、打ち明けることにしたという。

しかし、ここです。

その後、環がコーキに「頼まれたわね?」と話しかけます。

「何のことですか?」と知らないふりをするコーキに、「優しさの方向を間違えている」という環。

「方向はあってますよ、間違えてはいません。」と応えるコーキ。


ここが、よく分からなかったんです。。

悔しい、私の読解力・・・。

コーキは結局誰かを庇って自分が幹永舞だと言ったのか?

コーキが頼まれるとしたら黒木から??むむむ???


狩野の正体は?!



チヨダ・コーキの「レディ・マディ」をパクっていると言われている他雑誌「フラット」の「ハロー・レイチェル」は、黒木が加々美莉々亜に描かせた本当のパクり作品でした。

それに気づいた環はやりすぎだと黒木に交渉し、完全なパクり作品からリスペクトを忘れない作品へと自分が脚本を書くと直談判します。

しかし、仕事が多すぎてろくに寝食出来なかった環は倒れてしまいます。

環が抱えていた締め切り間近の「ハロー・レイチェル」の脚本を仕上げようとスロウハイツの仲間たちが動き出します。

そこで、正義が仕事に出ている狩野を呼び戻すのですが、帰ってきた狩野に対して言ったセリフがこちら↓

「やっぱり、黒木さんはお前には甘いね。ある意味、手間のかからないコウちゃんみたいなポジションだもんな。かわいがってるんだろうな」

「canとableね。今度なんか奢れよな、この高額納税者。ほんっと、お前には気持ちいいぐらいに騙されたよ」

「スロウハイツの神様」下巻p352



ん??どういうこと??

正義は狩野の正体に気づいたようです。

「あんな闇の深いものばっか書いてるから、その反動で児童漫画の方には逆に一切の残酷さや闇が描けない。表のお前に芽が出ないのって、間違いなくそのせいだろ。」

「スロウハイツの神様」下巻p352


ここです!!!
この正義のセリフに対し、狩野は「この秋で終わらせるつもりだ」と返答しています。


つまり、狩野の正体はチヨダ・コーキが「レディ・マディ」を連載している雑誌「ブラン」のもう一つの人気作品「ダークウェル」の原作者、幹永舞!!!

コーキではなく、狩野が幹永舞だったようです!!

すでにめちゃくちゃ売れてる原作者だったので、「高額納税者」と言われたんですね。

狩野→可能→can/able→かんえいぶる→かんえいぶ→幹永舞(かんえいぶ)

だじゃれ?

コーキが「自分が幹永舞」だと告白したのは、環がその正体を疑っているのを知った黒木から頼まれたのかな?という感じですね。

なんとなく、狩野は児童漫画家志望だから原作だけ・・・?という違和感はあったのですが、
絵を描けるのはもちろん、ストーリーを考えるのが漫画家さんですもんね。

絵を描いてしまうと幹永舞が狩野だとばれてしまうから作画は夜真下さんに任せたということなんでしょうか。


小言


ということで、すっきりしないけれど自分の中ではこう落ち着きました。

読解力には自信がある方だったので、すんなり狩野の正体がわからなかったのは悔しかったです(笑)

え、どこに書いてた?と小説を見返すのは久しぶりです。

でもこういうのがあるからこそ、本って面白いんですよね。

他にもめちゃくちゃ面白い本を読んだので、そちらもまたご紹介します!!

面白すぎてページをめくる手が止められない!

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