
横浜流星。。かっこよすぎる…!!!みかんです。
べらぼう面白いよー。
本日は、読んだ本のご紹介です。
「ファラオの密室」白川尚史
2024年の「このミステリーがすごい」大賞受賞作品です。
「このミス」大賞受賞作品ってだけで読みたくなっちゃいますね、信頼のこのミス。
この作者さん、経歴がものすごかったです。
東京大学で人工知能研究の研究室に入り、機械学習を学び、卒業後はAIベンチャー企業を設立し代表取締役に就任。
その後退職し、マネックスグループの取締役に就任。
どんな人やねん。
すごすぎるだろ。
小説を執筆しようと思い立ったのは2016年ごろとのこと。
私も書いてみようかな。
なぜエジプトを舞台にしたのか、の理由も面白いのでぜひあとがき解説も読んでみてください。
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ざっくりあらすじ(ネタバレなし)
紀元前14世紀の古代エジプト。
死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界へ行く審判を受けることができなかった。
賭けた心臓を取り戻すため、期限3日で地上に舞い戻ったセティ(恰好はミイラのまま)
セティの心臓はどこに行ったのか。
セティはなぜ死んだのか。
地上では密室状態の王墓から先王のミイラが消失事件が発生。
セティの死と、先王のミイラ消失事件、二つの謎を3日間で解けるのか。
いきなり主人公がミイラ!!
ちょっとびっくりですね。初めて読むかも。
更に驚きなのが、エジプトの人はミイラで戻ってきたセティをすんなり受け入れる(笑)
ええええええ?!?!?!ってならない。
ただこれは、古代エジプト人の死生観をしっかり理解しているからだと吉村作治先生もあとがきに寄せられていました。そうなのか。
ざっくりあらすじ(ネタバレあり)
古代エジプトでミイラが復活
アクエンアテンの時代、神官書記官だったセティはミイラになって目が覚める。
そこは死者が真実を司る女神マアトから審判をされる場所だった。
死者の心臓を測りの一方に、もう一方には真実を象徴するマアトの羽根を載せる。
釣り合えば、罪なき者は楽園であるイアルの野へ迎えられ、永遠の性を得る。
心臓が羽根より重い場合、心臓はアメミットという怪物に喰われ永遠に復活できない。
セティの審判の順が来るも、セティの心臓は欠けておりこのままじゃ裁けないという。
そこでセティは地上に3日間だけ戻り、心臓の欠片を探すことになる。
セティが地上に帰るころ、地上でも大事件が起こっていた。
先王アクエンアテンのミイラが密室のはずの王墓から消失していた。
セティは生前の親友であり、セティや先王のミイラ作りも行ったミイラ職人タレクと協力しあいながら事件の真相に迫っていく。
私、子供のころから古代エジプト文明が大好きで、エジプト展行ったりエジプト神話の本持っていたりするんですが、しょっぱな真理の女神マアトとセティが会話してて、オタク心がくすぐられまくりです。
セティの死の真相
セティは先王アクエンアテンの王墓建設中の崩落事故で下半身を大きな石に潰され、短剣に胸を貫かれて死んでいた。
容疑者は同じく玄室にいた二人の同僚、ジェドとアシェリ。
嫌味ばかり言うジェドに話を聞きに行ったところ、神官長であるメリラアからセティの暗殺を命じられていたことを告げる。
尊敬するメリラアがなぜ自分を殺害しようとするのか。
暗殺は頼まれたが、セティを刺しその心臓を盗んだのはジェドではないらしい。
もう一人、亡くなったセティに会いに来た人物、自分の父であるイセシ。
若干の確執を残したまま死んでしまったイセシに会うと、メリラアから心臓を切り取るように言われたらしい。今その心臓は先王の王墓玄室にあるという。
なぜメリラアは自分を殺そうとし、復活するように心臓を盗むようにイセシに言ったのか。
全てはエジプトを思うメリラアが計画したものだった。
ミイラが普通のミステリー小説みたいに色んな人に聞き込みをしていきます(笑)
面白い。
セティの過去も見えてきますがしんどすぎて;;
わしはなんとぬくぬく生きているのかと思ってしまいますよ。
神官長メリラアの計画
アメン・ラーを王の化身とし、多神教であったエジプト。
しかし、強くなり過ぎた神官たちの力を削ぐため、アクエンアテンは主神をアテンと定め、他の神々への信仰を禁止した。
アテンを太陽神と同一視していたが、そのことがエジプトを危機に陥れると考えたメリラアは、死んだアクエンアテンを復活させ、信仰をもとに戻すように持っていきたかった。
そのためミイラ職人のタレクを巻き込み、復活の儀式を密かに行っていた。
それは、オシリス神のようにミイラをバラバラにし、ばれないように蝋でつなぎ留めておくというものだった。
そしてタレクを巻き込むためにもセティを実験に使ったのだった。
殺害し、ミイラにし復活の儀式を行う。
実際セティはミイラになって復活したのでメリラアの試みは成功だったといえる。
しかし、先王アクエンアテンのミイラは密室から消え去り、アテン神を祀る神殿に現れ、アテン信仰をより強固のものにしてしまった。
先王アクエンアテンのミイラ消失の真相
メリラアと共に葬送の儀の前夜、王墓を巡回していたのがアハブというメリラアの護衛だった。
タレクとハットゥシャ出身の奴隷の女の子カリはセティを探す途中でアハブと遭遇する。
アハブによると、メリラアはアテンの真の目的は冥界を滅ぼすことにある、と言っていたという。
アテンの正体は神ではなく、名を失った無数の死者の魂が寄り集まって一つの塊になったもの。
名を失った魂は、冥界で永遠の命を得たせいで死ぬこともできずに永劫の上に苦しんでいる。
そこから解放するためには、冥界そのものをなくすしかない。
アテンを熱烈に支持するアテンの使徒の中核は、近親者や先祖が名を失ったものたち。
彼らは家族や父祖を永遠の苦しみから解き放つため、アテンを信仰している。
アクエンアテンもその正体を知っていたはずだが、それでもアテンをあがめていた理由は、力をつけすぎてしまった神官団の力を削ぐため。
また、名を失った民を救いたいという思いも持っていたはずだとメリラアは言っていたという。
古の神がいたという証である冥界から舞い戻ってきたセティが鍵だと3人でセティが来るはずであろう王墓へと向かい無事合流する。
しかしそこでアハブが3人を裏切る。
実はアハブこそがアテンの使徒でありアクエンアテンのミイラを密室から持ち出した犯人だった。
王墓内に閉じ込められたセティとカリは、アクエンアテンのミイラが外に持ち出された方法で脱出する。
それは、王墓内に開けられた空気穴(人間の身体は通らない)を、ミイラをバラバラにして通すというものだった。
めちゃくちゃ密室トリック!!
しかも古代エジプトでしか通用しないタイプの!!
面白いですね~どうやったらこんなこと思いつくのか!
小言
「このミステリーがすごい大賞」に選ばれた!ということで期待しかしていませんでしたが、
設定等の目新しさは「おおお!」となりましたが、個人的にはすんなり終わっていった、という感想でした。
所々今っぽさが感じられる、今っぽい流れでした。
セティのね、最後に明かされた性別とか読者の先入観をうまく利用した感じなども。
古代エジプトでの密室ミステリーなんて思いつかない!
すごい発想です。ビジネスマンって感じ。
どんでん返し!ってほどではなかったので、どんでん返しだったらこっちがおすすめです↓
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