娘がお昼寝中に書きためよう!と昼寝の前までは思っているのに、いざ寝るとお菓子をすごい勢いで消費することしか出来ません、みかんです。
もうだめ…!!!
お菓子食べ散らかしてたら娘起きたし。
お腹いっぱいです。幸せ。
では、続きを参ります!本当にこの本はめちゃくちゃ面白い、続きが読みたくなって仕方がない一冊なので、是非ご一読ください!
前編はこちら!
壮大な伏線回収!久しぶりに読むのを止められず徹夜してしまった1冊「古書の来歴 上・下 (ジェラルディン・ブルックス)」(前編)
ネタバレあらすじ(下巻)
⦅1996年・ボストン⦆
ハンナの母、サラ・ヒースは脳神経外科の世界的権威だった。昔から仕事一筋だったが、娘が医師ではなく古書鑑定士の道に進んでからはますます親子の仲は険悪に。ハンナの仕事を決して認めなかった。
そんなサラが交通事故に遭う。
その中で、シャランスキー家の人々に出会う。今まで闇の中だったハンナの父親の姿が見えてくる。ハンナの父親は、アーロン・シャランスキー。有名な画家だったが病死した。
そしてシャランスキー家は、ユダヤの家系だった。
事故に遭ったサラから、父親であるアーロンのこと、母との関係を聞くことになるハンナ。
⦅1492年・スペイン タラゴナ⦆
ダヴィド・ベン・ショーシャンは市場で耳と口が不自由な若者から美しい絵を買った。それは古代ユダヤの聖書注解書であるミドラシュに精通したものの手がかかったであろう美しい絵だった。
ダヴィドはこの絵を甥の結婚祝いとして作るハガターに使おうと考えていた。
ダヴィドは記述者の仕事をしていた。流麗な文字を書く才を与えられていた。
ある日、女が訪ねてくる。息子のルーベンと駆け落ちした女だった。息子はキリスト教徒の女に入れ込んでしまい、家族を捨てキリスト教に改宗した。息子はいないものとなった。
ダヴィドにはキリスト教に改宗しいないものとなった息子の他に、ルティという娘もいた。
その女曰く、昨晩治安感が廷吏を連れてきて息子を拷問。〈聖なる家〉に連れて行かれた。
息子は何の罪かも教えられないまま拷問、監禁されていた。
息子を救うためには、異端審問官に大金を払わなければならない。だがダヴィドにはそのあてがなかった。
ダヴィドは甥に送るハガターの銀の留め金に、自分の結婚誓約書の銀の箱を使うことにし、ルティに製本士ミハの元へ持って行かせる。
ルーベンが異端審問官に連れて行かれた理由がようやく明らかにされる。ルーベンが持っていたユダヤの聖句箱だった。ルーベンは本当に改宗していた。ただ、寂しかった。キリスト教の妻、ロサを愛していたが、家族と絶縁することになり愛する父と2度と会えなくなってしまったことが。
ユダヤの祈りを捧げてはいなかったが、聖句箱を所持していた。この聖句箱は妹のルティが渡してくれたものだった。
肉体的、精神的な拷問に耐えかね、その聖句箱をどうしたのか聞かれたルーベンはルティの名前を口にしてしまう。
ダヴィドの家に異端審問官が遣わせた兵士がやってくる。ルティと出せという。仕事に出ているというと殴られ倒されて何かを口にする暇もなく蹴られる。ダヴィドは血溜まりの中死んでいた。
ミハの元にも兵士がルティを探してにやってきた。ルティは隠れていて無事だった。そのまま家には戻らず、隠れ家である洞窟へとハガターを持って向かった。
ルティが洞窟へ向かうと、ルーベンの妻、ロサがいた。陣痛が始まっていた。ロサは悪しきユダヤ教の血が混じった子供を産むことを恐れていた。父にも全否定され続け、自分でも死んでしまえばいいと思うようになってしまっていた。赤ん坊は生まれたものの、動かなかった。ロサは勝手にしてというのでルティが埋めにいこうとすると、赤ん坊が微かに動く。ルティはロサには言わずに赤ん坊を連れて行く。
その頃、スペインで王の勅令が下る。ユダヤ教徒は出て行けという。私財は持って出ることができず、キリスト教徒に貸した金は返されない。
ルナは孤独だった。赤ん坊を抱いて海に入る。一度はその手を離すが、両手で赤ん坊をしっかり捕まえる。ユダヤ教の洗礼を行い、赤ん坊をユダヤ教徒として育てていくことを決心する。
ハガターから銀細工の留め金を外し、船賃にし、海の向こうへと渡る。
⦅1996年・ロンドン⦆
ハンナは本に挟まっていた白い毛のDNA鑑定をしてもらっていた。それは猫の毛だった。黄色の染料も一緒に検出された。
⦅1480年・セビリア⦆
「私」は14才の時に奴隷として売られた。それまでは薬学の知識が豊富な位の高い父のもとで大切に育てられていた。奴隷として売られた先は、ホーマンという絵師の工房だった。
絵師として修行を積むと、ホーマンから白い猫の毛でできた筆を与えられる。
その当時、写実的な人物画は偶像破壊主義者たちから根こそぎ破壊されていた。それ故肖像画が描かれることはなかった。しかし、断れない依頼がきた。それは総督からで、イスラムの絵師をハーレムに寄越せというものだった。
総督が戦でハーレムを離れる間、妃の顔が見たい。そのための妃の肖像画を描けということだった。
美しい妃は、キリスト教徒の村から奪われてきた捕虜だった。その美しさで総督が妃へと押し上げた。
総督にそのつもりはないが、精神的に虐げられている妃と時間を共にするうちに、2人は悲しみを共有するようになる。
妃は総督の兵士に両親を殺され、姉は行方不明、弟ペドロを守るために総督を愛しているふりをしていた。
妃のもとにはユダヤ教徒の医師が通っていた。その医師からキリスト教の時祷書を渡されており、心の拠り所にしていた。
「私」をそれを見て驚く。美しい絵が散りばめられていた。書かれているラテン語が読めなくても、絵を見て理解できるという。
ある日医師が妃の診察にやってくる。すると、妃は診察のお礼も兼ねてこのムーア人の女、「私」を医師に差し上げるという。ペドロも一緒に。
「早く行きなさい。生きていたいなら」
妃は私と弟のペドロを救うつもりだったのだ。2人の命を救うために考えた妃は、ユダヤ人の医師に託すことにした。戦が城にも迫り始めると、妃は修道院に逃げ込んだ。
「私」は奴隷の名前ではなく、本来の名前ザーラを取り戻し、医師のもとで助手として働いている。
ある時医師は、ミツライムというユダヤの大事な儀式を父から息子へ受け継いでいくことが大事だが、一人息子のベンヤミンは聾唖でそれが出来ないことが心残りだという。
絵がふんだんに使われるキリスト教とは違い、ユダヤの経典は文字ばかりだった。そこで「私」はユダヤ教の物語を、絵を通してベンヤミンに伝えようと考える。
間も無く訪れる春の祝い事の日に、絵を医師に贈るつもりだった。その祝いの場も描いた。食卓の上座に医師が座り、隣にベンヤミン、美しく着飾った医師の妻、屋敷で一緒に暮らしている妻の姉妹も描いた。ふと、大好きな色であるサフラン色の外衣をまとった自分も描いてみた。
⦅1996年・サラエボ⦆
ハンナは誰にも言わずにサラエボに戻った。博物館へ行き、例のハガターを確認し愕然とする。
ハガターは偽物だった。自分が鑑定したものと羊皮紙の毛穴が違っていた。
慌ててオズレンを探すと彼はハンナの師であるヴェルナー・ハインリヒといた。ヴェルナーは稀少本の贋作を即座に見破ることで有名だった。
ハンナはユダヤ人であり古書鑑定の仲間でもあるアミタイを疑う。彼なら写真のネガを持っているし精巧な贋作を作ることが出来る。
2人にハガターが偽物であることを伝えると、2人ともそんなことはないと言い張る。どう訴えても贋作ではない、という2人に視界が真っ黒になりその場を後にする。
⦅2002年・イスラエル⦆
ローラはイスラエルで生きていた。博物館の清掃の仕事をしていた。
その日ローラは十万冊以上あるという本の掃除に取り掛かっていた。先週の掃除の続きでたまたま手に取った一冊がサラエボで、セリフ・カマルが持って帰ってきた本だった。
⦅2002年・オーストラリア⦆
ハンナはハガターを贋作と見間違えたこと、真実を見抜けなかったことから本の仕事から遠ざかっていた。そんなハンナを外務貿易省の役人が呼び出す。
そこにはハガターを盗んだはずのアミタイがいて、あのハガターを持っていた。
ハンナは取り乱すが、アミタイによるとハガターを贋作にすり替えたのはハンナの師ヴェルナーだった。オズレンも共犯だった。
ヴェルナーは14歳で徴兵され、ローゼンベルク特捜隊に配属された。そこはドイツ文化闘争同盟を組織し、ユダヤ人によって書かれたもの、描かれたものすべてを根絶することを目指していた。多くの歴史的な書物が焼かれるのを前に、ヴェルナーはこれ以上ユダヤの書物を失わせてはならないと考えた。
ボスニア紛争が始まった頃に、ハガターを守るようにアミタイに何度も連絡してきたが、実際にあるか不明なハガターのために救出作戦は行われなかった。
その後紛争が終わり、国連がハガターを修復して公開すると決めると、ヴェルナーは危険だと考えた。NATOと国連がボスニアに興味を失ったら、ボスニアが狂信的なイスラム主義者に牛耳られる可能性があると。
ヴェルナーがイスラエルのホロコースト博物館、ヤドヴァシムに隠し場所を選んだのは、そこをよく知っていたからだった。世界で一番安全な場所だった。
アミタイは、本物のハガターをハンナからオズレンに、ボスニアに返して欲しいという。
ハンナは再度ボスニアを訪れる。謝るオズレンとともに、バレないように展示されている贋作と入れ替えるのだ。薄暗い展示ケースで、懐中電灯が放つ赤い光が可能にした。
裕福な家族とユダヤの服を着た謎の黒人女性。
そこにはうっすらと文字が見えた。赤い布で光を弱めた懐中電灯で照らすと現れた細い文字だった。
『私はこれらの絵をベンヤミン・ベン・ネタネル・ハーレヴィのために描いた。
ザーラ・ビント・イブラヒム・アルータレク』
サフラン色の服を着ている女がムーア人の女性であり、この絵を描いた人物だということが判明する。
小言
どうでしょうかあああああああ!!!!!!
もうこれ書くために読み直しても興奮する!!!
壮大な伏線回収です。
ほんと多くの人に読んで欲しい。一冊の本が巡る途轍もない歴史。
筆者全部見てきたん?と勘違いしそうなほど詳細に描かれた世界観が想像を絶します。
どんな過酷な状況でも数奇な運命で守られ続けてきたハガター。
実在したらどこへでも見に行きたいです。
この本のキーワードにもあるユダヤ人。
ユダヤ人関連の本もいくつかご紹介しているので、ご興味ある人はぜひそちらもご覧ください。
日本を作ったのはユダヤ人だった?失われたアークは日本に?!ユダヤと日本の共通点にワクワクが止まらない一冊をご紹介します。(1)〜ユダヤ人の歴史〜
『アマテラスの暗号』伊勢神宮に隠された最高機密。世界の常識を覆す天皇の正体とは?あらすじ紹介(ネタバレ含みます)
コメント